東出昌大&新田真剣佑 熱演! 自動車競技「ラリー」に情熱を注ぐ兄弟の衝突と絆の物語 『OVER DRIVE』

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2018/6/1

『OVER DRIVE』(橘もも/講談社)

 あなたは「ラリー」という自動車競技をご存じだろうか。舞台は公道。競うのはゼロコンマ何秒のタイムと、運転の正確さ。巻きあがる砂煙。鼓膜を叩くエンジンの爆音。死をも恐れぬスピードで駆け抜けていく車体…。自動車競技の中で最も過酷といわれるこのスポーツの世界が、東出昌大&新田真剣佑主演の映画『OVER DRIVE』(6/1公開)で描き出される。「ラリー」は、ドライバーのドライビング能力だけを問う競技ではない。各メーカーの先端技術の結晶である車輛があり、ドライバーを支える整備士がいる、チーム戦だ。“人車一体の公道の格闘技”といわれるこの競技を映画ではどのように描いているのだろうか。

 5月には、同名作のノベライズ『OVER DRIVE』(橘もも/講談社)が発売された。「ラリー」に魂を注ぐ登場人物の対立と絆を描き出した本作で、話題を呼ぶこと間違いなしの映画の予習をしておこう。

 物語の中心となるのは、ラリーに情熱を注ぐとある兄弟。世界ラリー選手権へのステップアップを目指している「スピカレーシングファクトリー」の天才イケメンドライバー・檜山直純。そして、彼の兄であり、ラリーカーの整備士として確かな腕を持つ檜山篤洋。篤洋は直純に少しでもタイムを縮めてもらうために、仲間たちとともに徹底的に車の整備をする。だが、直純はいつも篤洋に歯向かう。篤洋からのアドバイスを無視して、直純は無謀で危険なレースを展開。レースの度に兄弟は衝突を繰り返し、直純は周りに当たり散らす始末。直純の態度から、チーム内には険悪なムードが漂っていた。そんなチームにある日、素行の悪い直純の新しいマネジメント担当として遠藤ひかるがやってきた。ひかるにはラリーの知識は一切ない。直純もひかるのことをあてにせず、打ち合わせなどをボイコットする。だが、ひかるは直純がなぜレースであんなにも刹那的な走りをするのか気になり、次第にラリーという競技に興味を持っていく。

 そもそも檜山兄弟の目標は同じはず。ゼロコンマ1秒でも速くラリーカーを走らせたいという思いを持っているはずだ。そうであるのにもかかわらず、どうして2人は対立してしまうのか。どうして直純は死をも恐れないような危険な運転をしてしまうのか。檜山兄弟の確執に秘められた過去が明らかになった時、ひかるは…。

 プロフェッショナルの世界で生きるチームメンバーたちの熱い思いがありありと描き出される。葛藤し、衝突しあいながらも、強い絆で結ばれたメンバーたち。もがきながらもひたすら上を目指す姿に思わず胸打たれる。

 過酷な戦いの世界を生き抜いていく彼らの勇ましさを、ぜひ映画だけではなく、ノベライズでも体感してみてほしい。目の前でレースを見ているかのような迫力にあなたも圧倒されるだろう。そして、男たちの強い絆に思わずほろりとさせられるに違いない。

文=アサトーミナミ