ブレイン・スクラッチ! 溢れる大乱歩先生のフェチズム!

小説・エッセイ

2012/3/10

江戸川乱歩全短篇(1) ――本格推理(1)

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 筑摩書房
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:江戸川乱歩 価格:1,134円

※最新の価格はストアでご確認ください。

江戸川乱歩といえば、日本におけるミステリーの父! サスペンスの父! 江戸川コナンの父(嘘)!
本作はデビュー作「二銭銅貨」を筆頭に、珠玉の名短編を収録した入門編でございます。“本格推理小説”というジャンルを確立した大乱歩先生ですが、長編もさることながら、スマートでエッジの利いた短編もまた至高です。

登場する犯人のしかけや発想は、揃いも揃って変態じみておるのですが、それを解決する側も、負けず劣らずの変質者ぞろい。冷静に見ると、まともな人物が主要キャラとして登場するのは非常に稀で、登場人物がとかくユニーク。その最たる所の、明智小五郎が初めて登場する「D坂の殺人事件」も収録されています。

繰り広げられる下手人と探偵の鬩ぎ合い。変でステキな脳髄を駆使した空中戦は、ドラゴンボールの悟空VSセル戦を思い出さずに入られません。夢野久作をもってして“脳髄のスポオツ”と言わしめるほどです。

基本的には推理モノが多いですが、著者のフェチズムが色濃くでており、現代のモノとはまた違った味わいがあります。解決してハッピーエンド! あぁスッキリ! というのは逆に少なく、犯人の非人道的で合理的な発想を目の当たりにして、人間の末恐ろしさを思い知らされるモノが多いです。

この“非人道的で合理的”というのも、乱歩独特の不思議な感覚で、登場する残酷無比な所業は外道の行いでありつつも、どこか理性的。ともすると、悪漢の方に至極共感してしまうといった具合です。

まるで“明日からできる完全犯罪”を読み終えたような感覚に陥りますが、気をつけて! パッと見できそうなのは、乱歩先生のスバラシイ技巧によるもので、数々の所業を成し遂げるには、並々ならぬ情熱と切れ過ぎる頭が大前提となっております。

それらをもし兼ね備えていたら?
…ウーン、そうですね。
個人的にそういう方には今すぐにでも、小説を書いて見ることをお勧めします。そして、それが売れたら、私に挿絵の仕事とかよこせ(ください)、と、こう思います。

どういうことかというと、読めば読むほどに、江戸川乱歩という巨人の計り知れない才能を思い知るってことです。日本人なら、一度はぜひ、ご拝読いただきたい!


無敵過ぎる1章の布陣

全部で21編の乱歩無双。後半の推しメンは二廃人!

麻酔銃で眠らない小五郎!