見方を変えるだけで、 発想力がぐんぐん伸びる! 視野を広げる絵本『コップってなんだっけ?』

ライフスタイル

2018/6/12

『コップってなんだっけ?』(佐藤オオキ/ダイヤモンド社)

「デザインシンキング」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。「デザイナー的思考」を意味するこの言葉が、今、注目を集めている。

 ユーザーのニーズが多様化し、変化が激しい現代では、従来の「マーケティングリサーチ」中心のクリエイティブでは立ち行かなくなってきた。デザインシンキングでは、デザイナーがこれまで行ってきたように、ユーザーの行動や心理を徹底的に観察し、プロトタイプの製作と検証を何度も繰り返すというプロセスをなぞることで、ユーザーが潜在的に抱える本当のニーズを掘り起こせる、という。iPodやWiiが、デザインシンキングで誕生した代表的プロダクトといわれる。

 デザインオフィスnendo代表デザイナー・佐藤オオキ著の絵本『コップってなんだっけ?』(佐藤オオキ/ダイヤモンド社)を通じて、デザインシンキングの何たるかが理解できそうだ。

 本書は、私たちの身近にある「コップ」を主人公として、私たちがコップに対して抱える“困り感”と、コップの進化の可能性を示している。デザイナーによるユーザーへの観察と試作・検証が、物語の中で繰り返される。


 物語はカフェオレを飲むところから始まる。コーヒーにミルクを入れるが、スプーンがない。どう混ぜる?


 底を尖らせる? なるほど、コマのように回転させて混ぜやすそう。しかし、コーヒーを飲みながら本を読むのが難しそうだ。


 仕切りを作る? ミルクの量は少しでいいので、仕切りをもっと右に寄せたいと思う人が多そうだ。そうなると、飲み終わった後、特に仕切りの右側を洗うのが難しそう。きっと指が入らないだろう。


 本書は、この後、コップの口を閉じて穴をあけ、貯金箱やじょうろなどに進化させていくという、奇想天外な展開を見せる。コップが秘める可能性が示されることで、私たちのコップに対する見方が変わっていくのがおもしろい。

 本書を通じて、モノに向ける視野がきっと広がる。また、親子で読むと、「こんなコップはどう?」などと会話が盛り上がることは間違いない。

文=ルートつつみ