「グイグイ力」たりてる? ——「好き」を極めるにも楽しく生きるにも大切なこと

暮らし

公開日:2018/6/18

『グイグイ力』(井上三太/ぱる出版)

 みなさん、楽しく仕事していますか? 楽しく恋愛していますか? この記事を読んでいらっしゃるみなさんの中には、「最近、ぜんぜん仕事が楽しくなくってさぁ」とか「恋愛なんてなにが楽しいんだよ」とか思っていらっしゃる方もいるかもしれません。

 本稿では、そんなみなさんにぜひともご紹介したい本が1冊あるので、この場を借りてご紹介いたします。 その本の名前は、『グイグイ力』(井上三太/ぱる出版)です。この本を手に取ったとき、「ビジネス書」だと思っていました。ところが、中身をパラパラ見ていくと、「ぜんぜんビジネス書じゃねーじゃん!」と。むしろ、下手なビジネス書よりも「いい熱意」みたいなものが伝わってきて、引き込まれました。

 この「グイグイ力」というのは、押しの強さとか厚かましさを指しています。これまで日本では奥ゆかしさが大切にされ、「グイグイ力」をもった人は決してよしとされることはなかったと思います。でも、井上さんのいう「グイグイ力」は押しの強さ、厚かましさだけではなく、意志の強さも含まれているのだと感じました。ぼくの言いたかった「いい熱意」というのはこの点です。他人には押し付けないながらも自分のやりたいことに向かって突っ走る井上さんの生き方をどうしてもみなさんに紹介したくて本稿を書くに至りました。

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 それでは、みなさんにも本書の魅力を味わっていただきたいと思います。

■好きこそものの上手なれ―グイグイ力さえあればお金や名誉に固執しない

 漫画家として数々の作品を手掛けてきた本書の著者である井上さんは、「おじさんの与太話をよかったら聞いてみてください」と言っているのですが、ぜんぜん与太話ではなく、生きていく上では本当に大切なことばかりが詰まっていると感じました。だから、井上さんのことをリスペクトしながら一息で読んでしまいました。時間を忘れて。

 黄泉の国にはお金とか名誉とか持っていけない、とよく聞きます。これはたしかにその通りなのですが、お金と名誉に興味がない人は現実にはなかなかいないと思います。要するに、お金とか名誉に目がくらんでしまっている人がたくさんいるということです。でも、井上さんのすごいところは、お金や名誉に固執せずに自分のやりたいことができていること。

 幼いころから絵を描くことが大好きで、他人の目もそれほど気にせずに漫画を描き続ける。漫画を描くことの中には楽しいことばかりがあるわけではなくて、「苦しい」こともあるということを認めながら生きているのです。その「苦しい」の中に「おもしろい」を見出しているのが、井上さんとほかの人との違うところだと思います。自分が好きだと思ったことについてグイグイ突き進んで、その先に自分を見出しているのです。それってカッコイイじゃないですか。

■やりたいことを遠回りに品よく主張しても、その声は届かないことがほとんど

 現状に不満があるなら、自分のやりたいことを、声を大にして主張しなくてはダメだと井上さんはいいます。本当にやりたい仕事があるなら「それは僕がやります」ってグイグイ押していけば、自分でできる可能性だって出てくるのです。それを、おしとやかに言ったとしても、強者がそろう世界では軽くあしらわれて終わり。自分のやりたい仕事がほかの人にどんどん取られてしまいます。

 仕事に限らず、恋愛についても同じことが言えます。思いを寄せている女の子がいたとして、その思いを打ち明けることなくピュアに胸の中で育てているのではダメなのです。いつの間にか、わけのわからない男にとられて終わり。女の子だってグイグイ来られたら、女の子もひとりの人間であり動物なのだから、落ちてしまうでしょう。きっと惚れこんでしまいます。「そんなにしつこくわたしのところに来るっていうことは、よっぽどわたしのこと大切にしたいと思ってるんだ」と。ぼくも本当に好きな女の子には、グイグイいくようにしています。

 本稿で紹介させていただいた『グイグイ力』は生きていくためのひとつの指針をまとめたものだと思います。あくまで「指針」であって、生き方は人それぞれですから、井上さんの生き方を参考にしつつも自分の道を行くというスタイルがあったとしても、それは素晴らしいことだと思います。みなさん自分なりに「グイグイ力」を高めていってください。

文=ムラカミ ハヤト