今年の夏は、スパイスで作るカレーに挑戦! スパイスの種類や黄金比、薬効などカレーの全てが分かる便利帖

食・料理

公開日:2018/6/20

『カレーの便利帖』(晋遊舎)

 スパイスを使ったカレーというと、「料理好きがやること」「種類が多すぎて分からない」と敬遠してしまいがち。また、一度はチャレンジしたもののそれっきりで、残りは捨ててしまったという声もよく聞く。しかしスパイスは、実はコツさえ掴めば手放せなくなるくらい万能なもの。そしてそのコツを写真付きで分かりやすく教えてくれるのが『カレーの便利帖』(晋遊舎)だ。

 本書なら、配合するスパイスの種類と量が目で見て分かるため、計るのが面倒な人も感覚的に作ることができる。また、スーパーで入手可能なスパイス類のメーカー別の特徴も5段階で評価。これを参考にして選べば、より好みの味に近づけることも可能だ。では早速、実際に本書を見ながら作ってみようと思う。作ったのは、本書曰く「誰でもできる」らしい「もも肉カレー」。

■「もも肉カレー」(P.14~P.15)

 このカレーに使うスパイスは、ターメリック、コリアンダー、クミン、レッドペッパーとたったの4種類。鶏肉はクセが少ないため、これでも十分美味しく仕上がるそう。

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 鶏もも肉は食べやすく切り、ヨーグルトとターメリックをよく混ぜ合わせておく。玉ねぎをしんなりするまで炒め、トマトペースト、にんにく、鶏もも肉を炒めて、肉が白くなってきたらスパイス、塩、水を入れて油が浮いてくるまで煮込んで完成。最後に生姜の千切りをのせる。

 濃すぎずさっぱり感のあるこのカレーは、パンやナン、ごはんなど何にでも合うバランスの良さが魅力。ヨーグルトに漬けた鶏肉も柔らかくジューシーで、まるでお店で食べるカレーのような本格派に仕上がっていた。生姜の千切りもいいアクセントになっている。

 もちろんほかにも、豚肉や牛肉、野菜やシーフードなど様々なカレーのレシピや、それに合わせたスパイスの配合も紹介されている。そしてスパイスは、カレーだけに使うものではない。おかずやデザート、飲み物など様々なメニューを、あっという間に絶品メニューに変えてくれる。

■「にんじんのアチャール」(P.40)

 アチャールは、インドのお漬物として親しまれている常備菜。拍子木切りにしたにんじんを少し芯が残るくらいに茹で、青唐辛子をみじん切りにしておく。フライパンに油とマスタードシードを入れて熱し、クミンシード、フェヌグリーク、にんじんを加えて炒める。火を止めてターメリック、レッドペッパー、パプリカパウダー、塩、酢を加えて弱火でとろみがつくまで炒めれば完成。今回は、フェヌグリークがなかったので三温糖、シナモン、生姜チューブで代用した。

 スパイシーで程よい酸味の効いたアチャールは、カレーの付け合わせにぴったり。また、ごはんやお酒との相性も抜群だ。瓶詰めにして保存ができるのもありがたい。にんじんの甘みが苦手、という人にもぜひオススメしたい食べ方。

■「パヤサム」(P.41)

 最後は、ココナッツミルクを煮込んで作るデザート「パヤサム」。まず、乾燥タピオカを茹で、冷水につけておく。鍋でバターを熱し、カシューナッツとレーズンを炒め、ココナッツミルク、牛乳、カルダモンパウダー、黒砂糖、塩を加えて煮る。最後にタピオカを加えて完成。今回は、ミックスナッツがあったのでそれを使って作ってみた。

 ココナッツミルクの独特の甘さとカルダモンの香り、黒砂糖のコクが混ざり合い、程よい甘さとスッキリ感。アジアンテイストな風味がふわっと広がるのがたまらない。

 スパイスの使い方を知っていれば、いくつか揃えておくだけで料理のバリエーションが一気に増え、日々のメニューに悩むことも少なくなる。また、単純にピラフやチャーハン、炒め物などに加えてもいつもと違う味が楽しめるので、ぜひとも臆せず使ってみてほしい。『カレーの便利帖』には、まだまだたくさん魅力的なスパイスの使い方、薬効などが掲載されている。これから、暑さや気温差で体調を崩しやすい時期に入る。本書でスパイスの知識を深め、自分に合ったスパイスを取り入れて楽しく美味しく健康を維持したい。

調理・文=月乃雫