もう塩しか使わない! 必要最小限で、最大のおいしさ「白崎茶会レシピ」【作ってみた】

食・料理

公開日:2018/6/27

『白崎裕子の必要最小限レシピ-料理は身軽に』(白崎裕子/KADOKAWA)

 家の戸棚を開くと、次々と出てくる調味料たち。定番のものから、ついつい話題性で買ってしまったものまで。でも、このうち実際にコンスタントに使っているのはごくごくわずか。そんな人に向けて、「まずは塩だけで料理をしませんか?」と提案する『白崎裕子の必要最小限レシピ-料理は身軽に』(白崎裕子/KADOKAWA)が発売されました。

 著者の白崎裕子さんは、「2017年料理レシピ大賞」を受賞し、予約が取れないオーガニック料理教室「白崎茶会」の主催者で、本書では、調味料断ちして、もっと身軽に料理を楽しむためのヒントがたくさん紹介されています。

 そこで、この中から“塩”を使って野菜のおいしさを最大限に引き出した3品を実際に作ってみました。

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1、塩だけで野菜のうま味を引き出す「コトコト塩スープ」(P.20)

 鍋に植物油とにんにくを入れ、鍋をななめに傾けながら弱火で熱する。ここに、同じ大きさに切ったじゃがいも、にんじん、玉ねぎ、きのこを加えて炒め、玉ねぎが透き通ってきたら火を止め、塩を加えて野菜になじませる。野菜からじんわり汗が出てきたら、冷たい水を加えてごく弱火にかけ、野菜がやわらかくなるまで煮込む。最後に塩・こしょうで味を整えれば完成。

 1品目は、本書のコンセプトを1番体現したスープレシピです。スープと言えば、固形スープの素や、肉・ベーコンなど、動物性たんぱく質を加えないとおいしくないと思っていませんか? でも、実は塩の力があれば、野菜からきちんとうま味が引き出せておいしくなるんだとか。実際作ってみると、思っていた以上に時間がかかり、何度も急いで次のステップに進もうかとも思ったのですが、そこを我慢して、じっくり丁寧に作業していくことで、味付けが塩だけとは全く思えない、野菜のうまみやコクが凝縮された、絶品スープになっていました。しかも、かなりの時間煮込んだにも関わらず、煮くずれもしていなかったので、1つ1つの野菜をしっかり味わうことができました。これぞ、究極の野菜スープです。

2、決め手は塩の量!「キャベツのコールスロー」(P.41)

 キャベツを太めのせん切りにしてボウルに入れたら、キャベツの重さに対して1%の塩を全体にまぶし、しばらくおく。水けが出てきたら、ボウルに残ったものは捨て、キャベツの表面についたものはそのままおいておく。最後に、好みの油、酢、せん切りした青じそを加え、よく混ぜ合わせれば完成。

 2品目は、塩の量が決め手となるサラダレシピです。葉物野菜などをサラダに使うとき、塩をふって水けを絞った状態で使うことがありますが、実は野菜によって塩の量を加減したり、どこまで水分を残すかなどをしっかり考えて調理しないと、野菜のうまみを活かせない残念な料理になってしまうんだとか。今回のキャベツのコールスローの場合は、ほんのり汗をかく程度に塩をふり、じんわりと出た水分ごと、料理のうま味として活用することが大切だそうで、確かにいつものべっとりしたキャベツとは異なり、ほのかな塩けとともに、シャキシャキっとした食感がクセになるおいしい一品になっていました。塩の扱い方をほんの少し変えるだけで、ここまで野菜のおいしさに違いが出るとはビックリ!

3、「塩水」に浸けておくだけで、野菜のウマさ倍増!「なすときゅうりの辛子漬け」(P.51)

 きゅうりとなすはそれぞれ薄切りにし、野菜と同量の塩分濃度3%の塩水に浸けて一晩おき、野菜の塩水漬けを作る。ボウルに、塩、甘酒、粉辛子を混ぜ合わせ、ここに、手で水けを絞った塩水漬けを加え、混ぜ合わせれば完成。

 3品目は、野菜の塩水漬けを使ったレシピです。通常、料理をするときは、塩と水はバラバラに考えて調理しますが、ここでは、それを混ぜわせた“塩水”を使います。この塩水に野菜を漬けることで、野菜の甘みが強くなる、食感がよくなる、さらには下ごしらえなしで、そのまま料理に使うことができると、まさに良いことづくめ。今回はきゅうりとなすの塩水漬けを使いましたが、どちらもシャキシャキっとした食感がおいしく、そこにほんのり甘じょっぱいタレが絡んで、暑い夏の箸休めにぴったりな一皿でした。

 今回は、塩のパワーを最大限に活かすレシピを紹介しましたが、他には塩をマスターしたあとに活用したい昆布酒、しいたけ酒といった即席調味料のレシピなども紹介されていて、とことん最小限の調味料にこだわった一冊です。

塩を使いこなせば、日々のごはんがガラリと変わる

 料理が苦手な人にとっては、とりあえずいろいろな調味料を使っておけば、味がついておいしくなると勘違いしている人もいるのではないでしょうか? でもそれは大きな間違い。使う調味料は最小限、究極塩だけでも、十分、むしろずっとおいしい料理が作れるんです。そして、自分自身の中で、「おいしい塩加減」が分かるようになると、料理の腕が格段に上がります。ぜひ塩加減を極めて、「自分のおいしい味」を見つけてみてください。

文=JUNKO