“普通の会社員”のためのキャリア戦略。 自分の武器を磨く5ステップを紹介

ビジネス

公開日:2018/6/29

『あなたのキャリアをお金に変える! 「顧問」という新しい働き方』(齋藤利勝/集英社)

 サラリーマンのみなさんは、労働市場における自分の“強み”を自覚しているだろうか。新卒採用のときに面接に向けて自己分析をやったという人も、何年も企業で働いているうちに、学生のころとは考え方も大きく変わっているはずだ。これからの時代、転職や副業がますます当たり前のものとして広がっていくと言われている中で、同じ会社で長く勤めてきた人の多くは「自分のやってきたことは、別の会社でも通用するんだろうか…?」と不安に思うこともあるだろう。そんな“普通の会社員”に読んでもらいたいのが、本書『あなたのキャリアをお金に変える! 「顧問」という新しい働き方』(齋藤利勝/集英社)だ。著者は「普通の会社員にこそ、今、大きな可能性が開けています」と語り、会社でコツコツ働いてきたサラリーマンたちに、“顧問”という新しい働き方があること、また自分の持っている強みを客観的に分析して活かす方法を提案している。

■企業の課題を共に解決する、顧問という働き方

 顧問と聞くと、会社の現場でバリバリ働くというよりも、前の会社との関係や人脈を生かしてのんびり働く“顔役”というイメージが強いだろう。しかし、ここ数年で状況が変化し、会社が実際に抱えている課題を解決するタイプの顧問が増え、しかも求められているという。こうした顧問は、コンサルタントのように提案をするだけでなく、現場で共に実務を行うのが特徴だ。「自分にそんな仕事が務まるのか?」と思う人もいるかもしれないが、長年真摯に働いてきた人ならば、必ず何かしら提供できるものはあるはずだ。例えば、会議進行のノウハウや、マーケティングの手法などは会社が変わっても通用する。また、自分が関わってきた業界に新規参入しようとする企業に対して、これまで培ってきた知識を伝えることもできる。このように、自分の会社では“当たり前”に使われていたビジネススキルでも、他社にとってはそうではないものがたくさんある。

■自分の強みを発見し、活躍するための戦略

 顧問になるためには、まず自分のキャリアを踏まえて、何が自分の武器になるのかを見極める必要がある。これは、顧問を目指す場合だけでなく、転職や副業を考えていくうえでも非常に役に立つもの。特に重視するべきは、「自分の何が強みなのか」「ほかにはないスキルやノウハウは何なのか」「補完しなければならない弱みはなんなのか」だという。本書では、これらを自分で把握するために、経済学や経営学のフレームワークをもとに著者が開発した「齋藤式分析ツール(Sツール)」を紹介している。

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「齋藤式分析ツール(Sツール)」の手順
(1)やりたいこと(ゴール)を設定する
(2)環境分析(3C分析の活用)を行う
(3)自己分析(SWOT分析の活用)を行う
(4)戦略を策定し優先順位付けをする(クロスSWOTで戦略策定)
(5)5W1Hで戦略をアクションプランに落とし込む

 各プロセスの詳細や説明は本書に譲るが、「Sツール」を使えば、自分の達成したい目標に対して、今の自分に「できること/できないこと」を客観的に把握し、今後やるべきことを具体的な行動に落とし込むことができる。さらに、この「Sツール」は、個人だけでなく、実際に会社の課題を解決する際にも応用できるという。

 自分にとっては見慣れた“普通”なこと、外から見れば立派な“強み”かもしれない。特別な経験がないから…と足踏みしてしまう前に、まずは自分のキャリアを客観的に分析してみては?

文=中川 凌