プロフェッショナルしか活躍できない社会がやってくる!? 激動の時代を生き抜くために必要なこと

ビジネス

公開日:2018/7/9

『どこでも誰とでも働ける 12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール』(尾原和啓/ダイヤモンド社)

 社会がものすごいスピードでインターネット化する中、これからの働き方を変える大きな変化が起こっている。この大きな変化を乗りこなし、生きていくためのヒントが満載の1冊が『どこでも誰とでも働ける 12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール』(尾原和啓/ダイヤモンド社)である。日本の執筆家・IT批評家である尾原和啓氏が、12職を経て学んだ、どこでも誰とでも働ける働き方、転職という手段による人生の広げ方、AI時代の生き方とは。

 尾原氏は、京都大学で人工知能を学び、マッキンゼーに入社し、Google、リクルートなど10回以上の転職をし、現在シンガポールやバリ島を拠点としつつ世界中で活躍している。知識や成果をシェアするインターネット化した社会は、会社から命令される関係と違って、世界中のどんな場所でも誰とでも、生き生きと働くことができる社会なのだ。仕事はPCでのチャットやテレビ通話でほぼ用が足りるし、Twitter やInstagram などのSNSで、世界中の気の合う人と巡り合うこともできる。語学の壁だってGoogle翻訳があれば乗り越えられるのだ。

 尾原氏は、「社会やビジネスがいっそうインターネット化すると、仕事で活躍できるのはプロフェッショナルだけになる」と述べる。ではどうしたらプロフェッショナルになれるのか? 著者は、見返りを求めず相手に、「ギブ」し続けることの大切さと、転職を通して身につけた会社の思想について紹介している。マッキンゼーの「期待値管理」、Googleの「ラショネール」「ハイパー性善説」、リクルートの「自分事化する力」など、各企業の魅力的な思想を「いいとこどり」でぜひ読んでほしい。

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「生涯ひとつの会社」という人はこれからますます少なくなってくる。著者は、転職を考えるとき、この会社で○○したいという目的としての転職ではなく、「表向きの肩書きがほしい」とか「英語をモノにしたい」とか「人脈を手に入れたい」とか、手段としての転職があってもよいと述べる。また著者は、自分のスキルの価値を知ることでそれがライフワークになる可能性があるとして副業やボランティアも勧める。尾原氏は会社を辞めるつもりはなくても、転職活動を毎年しているという。それは世の中から見た自分の価値を知るためなのだそう。

 自分の強みを作り、自分を成長させたいとき「手っ取り早いのは業界がこれから大きく成長する始まりの場所にいること」と著者は述べる。テクノロジーの動向をウォッチしていれば「何かが始まる場所」の勘所がわかるようになるそうだ。

 AIやロボットが発達すれば、人は「自分の好き」を突き詰めることだけをできるようになる。「インターネットが人間を、より人間らしくする」と著者は述べる。変化の時代に対応していけばゴールの引き出しは増やせる時代なのだ。

文=泉ゆりこ