ヘッドホン愛用者は、難聴予備軍? 実は怖い難聴は、簡単エクササイズで克服

健康・美容

公開日:2018/7/8

『薬も手術もいらない奇跡の聴力回復法 耳は1分でよくなる!』(今野清志/自由国民社)

 携帯音楽プレイヤーやスマートホンで音楽を聴くのが当たり前になった今、10代〜30代の若年層が耳のトラブルを抱えることが多くなっている。「ヘッドホン難聴」「イヤホン難聴」と呼ばれるものが、それだ。いま現在、耳が聞こえにくいわけではないけれど「自分はヘッドホン難聴予備軍なのではないか?」と気になる方は少なくないはず。そんな方に手に取ってもらいたいのが『薬も手術もいらない奇跡の聴力回復法 耳は1分でよくなる!』(今野清志/自由国民社)だ。

 著者は中国の伝統医学である中医学をベースに難聴、緑内障、視力回復の専門整体を行う日本リバース院長の今野清志氏。聞こえが悪いという症状があったら、その原因が何かを見極め、それを根本から治そうとする中医学の考え方を、本書ではわかりやすく解説してくれている。ここではその一部を紹介していこう。

耳は気づかないうちに悪くなる!?

・テレビのアナウンサーが話すことは理解できても、バラエティタレントのしゃべりがわからない
・知っている内容なら大丈夫でも、聞いたことがない話だと聞き取れない
・早口で話す人は、声が大きくてもわかりづらい
・呼びかけられたのに、気づかずにいることが少なくない
・静かな場所なら問題ないが、まわりが騒がしいと何度も聞き返してしまう
・きちんと聞き取れずに、あいまいに「そうだね」と返事をすることがある

 普段の生活のなかで、これらのような経験がひとつでもある人は、「聴力が衰え始めている」と言わざるを得ないのだという。「耳は気づかないうちに悪くなる」「耳が遠くなるのは加齢のせいではない」という本書の指摘は、意外な驚きに満ちている。

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 そもそも「難聴」というのは、音がほとんど聞こえなくなる病気ではなく「音が聞こえにくい」状態をさしている。だから、自分でも気づかないうちに難聴になってしまっている人は意外に多く、その数は2000万にも及ぶという。難聴には軽度から重度まで4つのレベルがあるが、テレビや音楽の音が大きく、まわりからしょっちゅう「うるさい」と言われている人は、すでに中度の難聴の可能性が高いという。心当たりはないだろうか?

耳をよくする7つのエクササイズ

 難聴は、聞こえなくなる原因がある部位によって大きくふたつに分けられる。外耳から中耳までの、振動を体内につたえる伝音機能を持つ部位に問題がある「伝音性難聴」と、その振動を電気信号に変えて内耳から神経に伝えていくパーツに機能障害が発生して起きる「感音性難聴」のふたつだ。このうち伝音性難聴が手術などを含めた治療で比較的改善される可能性が高いのに対して、感音性難聴は一般的に原因不明と言われ治りにくいとされている。この感音性難聴の治療に長けているのが、著者の今野氏だ。

 今野氏が治療のベースとする中医学では、人間の体はパーツの寄せ集めではなく、全身がつながって成り立っていると考える。そして、耳の働きが衰えている理由は、耳だけにあるのではなく、体のほかの部分にもあると考え、難聴の代表的な原因として「血流の悪化」「内臓疾患」「自律神経の乱れ」を挙げている。さらに「耳をよくするには、腸をよくしろ」と訴えている。

「なぜ腸なのか?」と疑問を持つ方もいるだろう。その理由は「腸が耳の健康に必要な、血流の流れに一番大きな影響を及ぼす器官だから」だという。そして、難聴の大きな原因である血行の悪化、内臓疾患、自律神経の乱れを改善するための、自宅でできる7つのエクササイズを紹介している。

 たとえば「基本の4つのマッサージ」のひとつは、次のようなものだ。

・耳シェイク
1.両手の人差し指と中指で「チョキ」をつくり、耳をはさむように置きます
2.耳の付け根と前を、上から4カ所、上下にシェイク(振動を加えて揺する)します

 耳マッサージ以外でかならずやってほしいという「エア縄跳び」も簡単なもの。

・エア縄跳び
1.軽くひざを曲げて立ち、両手が縄を持っているように曲げましょう
2.つま先は床に着けたまま、かかとで軽くジャンプします
3.手はジャンプに合わせて前や後ろにくるくるまわします

 7つのエクササイズは、いずれも簡単、気軽に取り組むことができるもの。著者の整体院では、25年間ほとんど聞こえていなかった60代の女性が、2年の治療で聞こえるようになったケースもあるという。また気がついたときに実施することで、腸や血流、自律神経なども整っていくため、生活習慣病を未然に防ぐことも期待できる。普段、ヘッドホンを使って音楽を聴いているのなら、「聞こえにくいな」と感じる前に始めてみてもよいのではないだろうか。

文=井上淳