8年の歳月を経て、いよいよグランドフィナーレ!「河合荘」の面々は幸せになれるの?

マンガ

更新日:2018/7/9

『僕らはみんな河合荘』(宮原るり/少年画報社)

 親の転勤でひとり暮らしをすることになった男子高校生・宇佐和成に巻き起こる、「河合荘」の住人たちとのハチャメチャな日常を綴ったラブコメディ漫画『僕らはみんな河合荘』(宮原るり/少年画報社)。『ヤングキングアワーズ』で2010年から連載が始まりアニメ化も果たした人気作だが、番外編も含めて2018年の5月に完結を迎えた。それを受けてコミックなどの書籍が3ヶ月連続で刊行決定。2018年6月30日の第10巻を皮切りに、7月30日に完結となる第11巻、8月30日には描きおろし漫画などを収録した画集が発売される。これを機に『僕らはみんな河合荘』の見所を改めて振り返ってみたい。

 この作品の魅力は、なんといっても個性的かつ一筋縄ではいかない登場人物たち。物語の軸は主人公「宇佐和成」とヒロインで宇佐と同じ高校に通う先輩「河合律」の恋模様である。しかし本が好きで他人と付き合うことが苦手な律と、そんな彼女に自らの想いがなかなか伝わらない宇佐の関係は進展しない。さらに宇佐の同居人「シロさん」や同じ河合荘の住人である「錦野麻弓」や「渡辺彩花」といった個性的な面々が巻き起こす騒動により、関係は進展どころか後退してしまうことも。そんな河合荘の住人たちは、今後どうなっていくのだろうか。

 まず宇佐と律の関係だが、宇佐は最初から律のことを好きなのだが、律は全然それに気づかない。しかも律は人にあまり興味がなく、とても無愛想。基本的に、変人である。そんな彼女をお人よしで世話焼きな「変ショリ」(変人処理係の略)の宇佐は放っておけない。このふたりの微妙な関係に、周囲は巻き込まれていくのである。そのうち、律の宇佐に対する感情が徐々に変化していくのだが、このあたりの機微が見所のひとつといえるだろう。

advertisement

 もうひとつ気になるのは、ほかの住人たちの行く末だ。巨乳で美人だが、男運に恵まれず恋愛しては失恋を繰り返す錦野麻弓。他人の幸せを妬まずにいられない残念美女だが、果たして真実の愛を見つけることはできるのか。そして見た目は可愛いが、他人の不幸を煽ったりするのが大好きな女子大生・渡辺彩花。実家の建築業を継ぐよう親にいわれても本人にその気はなく、将来は都会に出たがっているが……。さらに宇佐の同居人・シロさんは虐待されたり罵られたりするのが好きな真性マゾ。働いている様子もなく謎の人物なのだが、物語終盤で明かされる彼の驚くべき正体とは──。河合荘での生活を経て、彼らがどのような未来を選ぶのかも注目だ。

 漫画を読んでいると、登場人物のセリフが2014年にアニメ化された際のキャストたちの声で再生されるという人も多いだろう。アニメは特別編を含めてコミックス4巻くらいまでが描かれている。完結を迎えた今、できれば「完結編」として新シリーズの制作を希望するのは、私ひとりではないはずだ。

文=木谷誠