現役東大生で元ビリギャル男子版(偏差値35)の著者が、東大に受かる読書術を大公開!

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更新日:2018/11/12

『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(西岡壱誠/東洋経済新報社)

 歴代東大合格生ゼロの高校でビリの成績。高3時の偏差値は35だったという西岡壱誠氏。一念発起し、2浪の末、東大に合格。2018年現在も在学中の現役東大生だ。まさに、学年ビリのギャルが慶應大学に現役合格した「ビリギャル」の男性版。

 西岡氏によれば、東大合格のポイントは、「能動的な読書」にあったという。そのおかげで「地頭力(素の頭の良さ、自分で考える力)」が鍛えられ、「得た知識を運用する力」が身に付き、今では東大の学内書評誌『ひろば』の編集長の他、受験や学習に関する情報提供を行うプロジェクトのリーダー、作家としても活躍中だ。

 本書『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)は、そんな西岡氏が体得した読書術ノウハウが凝縮され、「読解力」「論理的思考力」「要約力」「客観的思考力」「応用力」が身に付くという1冊だ。

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 構成は、8割方をPart1「地頭がよくなる『東大読書』の5ステップ」の解説にあてているので、じっくりとそのエッセンスや応用方法を学ぶことができる。

 その5ステップとは、
1.「読み込む力」を劇的に上げる「仮説作り」
2.「論理の流れ」がクリアに見える「取材読み」
3.「一言で説明する力」を鍛える「整理読み」
4.「多面的なモノの見方」を身につける「検証読み」
5.「ずっと覚えている」ことができる「議論読み」

である。

 こう紹介すると、5つの読書術しかないのかと思われそうだが、各ステップの中に、さらに細かくさまざまな読書術が「~読み」という形で紹介されている。

 例えば2「論理の流れ」がクリアに見える「取材読み」というのは、単なる読者目線ではなく「著者を取材する記者目線」を想定した読書法で、論理の流れが把握しにくい本を攻略するのに最適だ。

 目の前に著者がいて、何でも質問ができる状況にあるというイメージで読書をする。読書する際の姿勢もすごく大事で、「(記者会見の場にいるかのように)背筋を伸ばし、前のめりで読書する」ことを著者は勧めている。

 つまり、本を読みながら「相づちを打ったり、質問を考えたり、時にメモをしながら前のめりになって本を読む」のが「取材読み」なのだが、そのもたらす効果を著者はこう記している。

(取材読みを行うことで文章に込めた著者の)「感情も理解できるようになるのです。(中略)全部『無色透明』の事実ばかりの文章よりも、感情で『色』がついていた方が理解しやすいのです」
「(前略)著者が、何に対して肯定的で、何に対して否定的なのか、何を嬉しく思っていて、何を悲しく思っているのか、そういうことを知ることで、論理展開は格段に追いやすくなるのです」

 こうした「取材読み」はさらに、「質問読み」「追及読み」などの読書術をマスターしていくことで、より掘り下げられ、難解な本でも「論理の流れ」を把握しやすくなるという。

「本とは魚です」と著者は記す。思わず「なるほど」と膝を打った。

 骨は、本を通して著者が伝えたい主張の部分。身は、それを補足するための飾り。読書で大切なのは、身の美味しさを味わいながらも、「頭からしっぽまで、骨を見失わないこと」で、そんな骨と身をしっかりと分けた読書術が「整理読み」である。

 他にも、長文を一言で説明できる力がつく「要約読み」、「付箋の効果的な使い方」の他、「東大流『読むべき本』の探し方」など、目からうろこの読書術が学べる本書。

 読書をもっと楽しくしたいという、すべての人におススメの1冊だ。

文=町田光