「わっしょい」の掛け声で踊り出す!子どもと一緒に夏祭りの面白さを体験できる絵本

文芸・カルチャー

2018/7/8

『おまつり』(あずみ虫/白泉社)

『おまつり』(あずみ虫/白泉社)は、夏祭りの楽しさを伝えてくれる絵本です。くまたはお祭りの日、お母さんに浴衣を着せてもらって祭りに出かけます。神社の鳥居をくぐったら、そこには焼きそば、おめん屋さん、金魚すくいなどの屋台がずらり。ページをめくるたびに違う屋台が出てくるので、子どもたちと「お祭りでどの屋台に行きたい?」と会話がはずみそうです。

 くまたの表情から、お祭りにはたくさんの驚きや喜びがあることが伝わってきます。浴衣を着る場面では、きっと面白いところだと想像しながらワクワク。家を出て、少し離れたところに神社のお祭りが見えると、たまらなくなって「はやく いこう!」とお母さんの手を引っ張ります。突然の「わっしょい!わっしょい!」という掛け声にびっくりしますが、そこにお神輿をかつぐお兄ちゃんを見つけて「かっこいい!」と嬉しそう。くまたを通して、お祭りの1日を疑似体験できます。

 まだ物語を追うことが難しい小さな子どもも、「ドンドド ドドン ピーヒャララ」というお囃子や、「パーン パーン」という花火の音に心を掻き立てられるでしょう。筆者の1歳9ヶ月の息子は、「わっしょい!」という掛け声に合わせ、手を上下に揺らしながら踊っています。お神輿をかつぐようなジェスチャーを見せると、読んでいた本をバンザイとかつぎ、部屋の向こうへ…。それ以来、「わっしょい!」と声をかけると踊り出すようになりました。子どもとのコミュニケーションを楽しむ本としても、おすすめです。

 この絵本の特徴は、アルミ板をカッティングする技法で描いているところにあります。少しいびつなかたちが可愛らしく、立体感があって、くまたたちが今にも絵から飛び出してきそうな感覚になります。子どもたちも気持ちを投影させやすいのではないでしょうか。

 お祭りを締めくくる盆踊りでは、屋台の人たちも一緒に輪になって踊ります。ここではみんなが笑顔です。神社の鳥居をくぐった瞬間に、ピーヒャララという笛の音色とともに現れる、ちょっと非日常な空間。お祭りとは、そんな特別な場所かもしれません。帰り道で、くまたは、来年のお神輿を一緒にかつごう、とお兄ちゃんと約束します。こんな夢のような1日をまた来年も過ごせるなんて、子どもにとってどんなに楽しみなことでしょう。今年の夏は、この絵本を読んでからお祭りに出かけることをおすすめします。

文=吉田有希