ブサ可愛くて、意外とファンが多いのは…夏休みに親子で石ころ探しの冒険を楽しもう!

暮らし

2018/7/11

『素敵な石ころの見つけ方(中公新書ラクレ)』(渡辺一夫/中央公論新社)

 子どもの頃、私たちはドングリや葉っぱ、そして石ころが宝物だった。道端や旅行先できれいな、または変わった石ころを見つければ、持って帰ってきれいに洗い、鉛筆削りの上に鎮座させた。そして、石ころを見つめては、発見したときの興奮を思い出した。

 多くの大人にとって石ころは宝玉ではなくなったが、わが子が石ころを嬉々として持って帰ってくると、子どもらしい姿に微笑ましい気持ちと、昔の自分を思い出して懐かしい気持ちとが混在するかもしれない。もし、大人になった私たちが石ころへの思いを取り戻すならば、親子での石ころ探しという冒険を通じて、親子の絆をいっそう深められるのではないだろうか。時間があり、旅行に出るかもしれない夏休みの遊びにピッタリだ。

『素敵な石ころの見つけ方(中公新書ラクレ)』(渡辺一夫/中央公論新社)は、石ころ探しを強力にサポートしてくれる一冊だ。石ころ探しの醍醐味、見つけ方、石の同定(名前や種類を特定すること)の仕方、国内・国外で見つかる石ころの例、などが詳細に解説されている。

 本書によると、石ころ探しの初心者は、川原からスタートするとよい。日本には大小の川が無数に流れているため訪れやすいし、川の流れが岩石を絶えず侵食、運搬するため、手頃な石ころが見つけやすい。ちなみに、本書が定義する「石ころ」とは、「手のひらに乗る大きさ」としている。

 川原は自由に散策できる。しかし、初心者にとって、自由であることはどこから探したらよいのか悩み、かえって難易度が高いかもしれない。本書は、川原での石ころ探しの方法を、次のように紹介している。

まず高台で目安をつけ、実際には流れ際から少し離れた場所を探す。

 高台とは、例えば川の流れが見渡せる展望台や堤防の上など。そこから、川の流れが蛇行しており、流れが緩やかで石ころが堆積する川の内側を見つける。ここが石ころ探しの絶好ポイントだ。そして、肝心なのは、岸から数メートル以上離れた場所で探すこと。川は増水を繰り返す。川から離れていない石ころは、泥をかぶっており白っぽい。家に持ち帰って洗ってみると、想像した姿と違っていた、とガッカリする可能性がある。岸から数メートル離れていれば、限られた時間でお気に入りの石ころを見つけやすく、不用意に足をすべらせて川へ転落、といった最悪の事態を起こすこともない。

 持ち帰った石ころは同定したいが、これが素人にはかなり難しい。岩石図鑑はその岩石の特徴を際立たせているものを厳選して掲載している。自然によって削られ、丸みを帯びた石ころは本来の特徴が薄れているため、図鑑の写真と一致させにくいからだ。

 本書は、同定よりも石ころ探しそのものを楽しんでもらうほうが大切とするスタンスから、探す意義や探し方に紙幅の多くを費やしているが、岩石の特徴も掲載されているため、同定のヒントにはなるかもしれない。しかし、それ以上に、岩石図鑑には恐らく書かれていない、ユニークな表現に着目したい。例えば、火成岩の一種である玄武岩。「有色鉱物の割合が多い」「主な黒っぽい鉱物は輝石」「ガスの抜けた孔が多く残る、表面のきめが荒く真っ黒な石ころ」など岩石図鑑に書かれているような特徴の羅列の中に、次のような表現がある。

黒くてゴツゴツ、と聞けば、なんとなく敬遠したくもなりますが、手に取ってみれば、愛嬌がある「ブサ可愛い」形ばかりなので、意外とファンが多い石ころでもあります。

 石ころへの親近感が湧いてくる。

 本書は、石ころ探しを「自然との対話」だとしている。夏休みに親子で楽しく石ころ探しをして、日本の多様な自然に触れてみてほしい。熱中症対策はどうか忘れずに。

文=ルートつつみ