ダメ男と別れられない「恋愛依存症」女子……実はそれ、「隠れアスペルガー」だからなのかも!?

マンガ

公開日:2018/7/14

『隠れアスペルガーさんの才能・仕事の見つけ方』(吉濱ツトム:著、いしいまき:マンガ/宝島社)

 コミュ障という言葉が一般化されて久しい。他者とうまくコミュニケーションが図れない、対人関係においてトラブルばかり起きてしまう……。それらの悩みをコミュ障という言葉に置き換え、自身をそう称する人も少なくない。しかし、そんな人たちのなかには、「隠れアスペルガー症候群」の人がいるかもしれないという。

 このアスペルガー症候群とは、発達障害の一種。コミュニケーション能力に難点を抱えており、それゆえに、社会的に孤立してしまったり人間関係をうまく築くことができなかったりしがち。しかし、コミュ障という言葉の台頭により、なんとなくそれらが「個人の努力不足」や「ワガママ」として捉えられてしまう場面も少なくない。本来であれば、その症状を正確に理解し、向き合っていく必要があるにもかかわらず、だ。

 そこで登場したのが、『隠れアスペルガーさんの才能・仕事の見つけ方』(吉濱ツトム:著、いしいまき:マンガ/宝島社)である。本書は、自身もアスペルガー症候群を抱えながらも、これまでに2000人以上をカウンセリングしてきた吉濱ツトムによるコミックエッセイ。隠れアスペルガー症候群の人の特徴をわかりやすく解説しつつ、それらの改善策を実践的に教えてくれている。

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 たとえば、恋愛面において。アスペルガー症候群の人は、どうしても「恋愛依存症」に陥りがちだという。その原因は認知システムの歪み。ひとつの物事に固執して、強迫的になりやすいアスペルガー症候群の人は、恋愛においてもその傾向を強く発揮してしまうのだ。特に女性の場合は、共依存的な恋愛依存症に陥りやすく、無職であったりDVを働いてしまったりするようなダメ男に引っかかっては、「この人は私がいないとダメなんだ」と自己肯定感を満たしていく。

 そんな状況から抜け出すためには、やはり認知の歪みを矯正する必要がある。本書ではその改善方法が具体的に説明されており、いますぐにでも取り入れることが可能だ。

 その他、職場における人間関係や、家族間の関係についてもアスペルガー症候群の人特有の悩みやトラブル事例を解説。それらを知ることで、コミュ障だからと言い訳してきた本当の自分の姿がわかるかもしれない。また、自身のことを知るだけではなく、周囲にいる人と照らし合わせたとき、「もしかして、あの人、隠れアスペルガー症候群なのかも……」と理解を深めることができるだろう。

 本書で書かれているのは、決してネガティブなことだけではない。アスペルガー症候群を正しく理解し、その才能を伸ばしていくための方法についても指南されている。当事者もそうではない人も、対人関係に悩む人たちをコミュ障という言葉だけで捉えるのではなく、その背景を深く知ることが必要。それを踏まえれば、きっと気持ちのいいコミュニケーションが図れるようになるはずだ。

文=五十嵐 大