人類の未来は明るいのか暗いのか。最新データから見える「未来」とは…

社会

2018/7/12

『怖すぎる未来年表』(未来予測研究倶楽部/学研プラス)

 歴史的な米朝会談が実現したのは、記憶に新しいところ。しかし、タイムマシーンで1年前に戻って人々に本当の未来の出来事だと話してみても、信じる人は少ないだろう。もしネットの書き込みなどででも予言していた人がいるのなら、よほど優れた知見を持っているか未来人なのかもしれない。そんな予測の難しい未来を『怖すぎる未来年表』(未来予測研究倶楽部/学研プラス)は、国際情勢や科学技術といった様々なデータを分析することにより、2100年までの日本と世界のシナリオを記している。

 本書でも北朝鮮のことは取り上げており、米朝会談に先立って行なわれた南北首脳会談を踏まえたうえで、経済制裁による国民生活の困窮などから、2027年に「北朝鮮の政権が崩壊か?」と言及している。また、南北首脳会談では朝鮮戦争の終結に向けて歩んでいくとの宣言が発表されているものの、韓国は北朝鮮全土を射程としたミサイルを「2031年までに200発」生産する計画を持っており、朝鮮半島の情勢が再び緊迫する可能性は否定できないとしている。

 そして国際情勢は、国内事情とも意外なところで接点があった。2016年に「政府関係機関移転基本方針」が発表され、まず文化庁が京都へ移転することが決まっている。これは「地方創生」を旗印に、省庁だけでなく民間企業や研究機関も地方移転を推し進めて地方を活性化しようというものなのだが、組織間での連絡が不便になる点やコストの増大が懸念され、当の省庁からも反対の声が出ているという。しかし本書では、「2050年、日本の国土の6割が無人となる」との見通しから、過疎化した地域に特定の国の人々が住み着いたり、土地が外国資本によって買収されたりすることで、「日本の国土が日本人の自由にならなくなってしまう」と警告している。日本の人口減少は、不安定な国際情勢の中にあって、より深刻な未来を予測せざるをえないというわけだ。

 未来予測の本では定番の自然災害の項目は、小学生の頃には怖いと思いつつもワクワクして読んだ記憶がある。しかし東日本大震災を経験した現在、本書で言及されている2028年までの「富士山大噴火の可能性」や、2048年までに「南海トラフ巨大地震の可能性」というのは、明日にでも起こる危機として備えておかなければならないだろう。とはいえ、「2075年頃に噴火するのではないか」と予測されている、アメリカ北西部のイエローストーン火山によるスーパーボルケーノともなると、火山灰がアメリカ全土を覆うとともに太陽の光を遮り、地球が寒冷化して「次々と人々が凍死していく」というのが、どうにも荒唐無稽に思えてしまう。しかもNASAが考案した対策が、ボーリング工事で火山に巨大な穴を掘って「水を注ぎ込み、火山の熱を奪う」となれば、さながらB級映画を彷彿とさせる。

 だが本書では「デルファイ調査」という技術予測の資料を参照しており、これは各分野の専門家にアンケートで意見や判断を求め、その集計結果を送り返し再度アンケートとして集計を反復していくというもので、本書で予測される技術的な分野の内容はあながち夢物語ではない。一方で、人工知能が生物学的限界を超えてその発達が推測できない限界点となる「シンギュラリティ(技術的特異点)」も本書では大胆に取り入れていて、人工知能が人間の代わりにテクノロジーを発展させる未来を予測している。それこそ2050年以降の未来では、コンピューターと脳をつなげる技術で「生身の肉体をもつ必要がなくなる」ことによる不老不死もありうるし、機械との融合や遺伝子操作による「死を超えるまでに進化」した「トランスヒューマニズム」が実現する可能性も提示していた。ただし、それはごく限られた富裕層だけで、「大きな格差が横たわっている」とも指摘している。最新の様々なデータをもとに未来を予測すると、現実は小説より奇なりということになるのかもしれないが、お金が無いと夢も見られないとは世知辛い話である。

文=清水銀嶺