浮気夫とはあえて離婚しない! 人気女性誌『STORY』読者が選んだ結婚後の半生

恋愛・結婚

更新日:2021/1/26

『いろいろあっても幸せな夫婦になる方法』(STORY編集部:編/光文社)

 事実は小説より奇なり。この言葉の意味をしみじみと感じさせてくれるのが、女性誌『STORY』の人気連載を書籍化した『いろいろあっても幸せな夫婦になる方法』(STORY編集部:編/光文社)だ。本書には幸せを手に入れた40代読者が経験した、結婚以後の予想外な半生が多数掲載されている。

 2016年に厚生労働省が行った調査結果によれば、現在の日本では3組中1組の夫婦が離婚という選択肢を選んでいる。けれど、離婚をしたから幸せになれるというわけではない。そして、自分の心を押し殺し続けたまま夫婦生活をこなしていくのにも限界は来る。それならば、私たち既婚女性はどう夫と向き合っていけばいいのだろう。

 そこで、本稿では本書に記されたリアルな体験談をご紹介しながら、夫婦の再生法を紐解いていきたい。

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■浮気夫をなだめながら暮らす道を選んだ妻

 夫の浮気は夫婦生活において重大な問題となり、離婚に繋がることも多い。自分以外の女性に心を奪われてしまった夫の姿は妻の目に虚しく映る。けれど、離婚を踏みとどまって見えてくるものもあるようだ。

離婚するより、夫をなだめながら暮らした方が賢いな、と思ったんです

 そう語る長谷川京美さんは社内恋愛で結婚した夫の浮気で苦しむようになった。だんだん頻度が増えていく外泊、ポケットから溢れ出た銀座クラブのショップカード、財布から落ちた避妊具。こうした夫の姿は限りなくクロに近かったが、浮気の大きな証拠を掴むことはできなかった。

 そこで気持ちを切り替えるため、長谷川さんはフラワーショップで働き始め、仕事に楽しさを見いだすようになっていった。しかし、家事が手抜きになってきたことを理由に、夫から正座を強要させられ、説教を受けた。自分自身を否定されたことにショックを受けた長谷川さんは離婚も考えたが、お金を稼ぐことの難しさを実感したため、夫をなだめながら暮らすことで解決の道を探っていこうと決意した。

 その後、彼女は夫優先で土日を過ごすようになり、毎日の食事は夫の好きなメニューを中心に作るようになった。これだけ聞くと我慢をしながら結婚生活を続けているように思えるかもしれないが、彼女は自分を犠牲にしながら夫に尽くしているわけではない。

 たとえば、義母を上手におだてながら得意料理を作ってもらい、自分は皿洗いだけを担当したり、夫がうれしそうに買ってきた洋服を本人の目の前で褒めた後、娘たちと一緒にこっそりと「似合ってないね」と笑ったりするしたたかさも持ち合わせている。

 長谷川さんはこのような帳尻り合わせを行うことで心のバランスを保ち、夫との関係を修復していった。

離婚する気持ちがないなら、鈍感でいた方がいい、証拠を掴まない方がいいと思っています。長い夫婦生活の中にはいろんな時期がありますからね。今思えば、正座をさせられた頃は夫も更年期だったのかもしれないと思えます。

 そう話せるまでになった長谷川さんは、夫にとって空気みたいな存在でありたいと願えるようにもなった。

 長谷川さんのように、夫の浮気から意図的に目をそらすことはなかなか難しいかもしれない。しかし、不貞行為から目をそらしつつ、パートナーの心を見つめてみると見えてくる夫婦の形もあるのかもしれない。

■浮気経験者が語る浮気男性の心理

おっさんになっていようが、お腹が出ていようが、禿であろうが、俺まだ行けるんじゃない、という気持ちがどっかにあるんです。

 ソフトな語り口調でそう話す大多和昌彦さんは本書の中で、浮気経験者として男性側の気持ちを代弁している。歯科医でありながら趣味のトライアスロンで各地を転戦する大多和さんはかつて『STORY』で、自身の浮気や妻・史絵さんとの間に起きた紆余曲折を連載していた。そんな大多和さんだからこそ言える浮気男性の心理には、夫婦関係を再構築するためのヒントが多く秘められている。

 浮気をされると妻は夫がもう自分のことを好きではないのだと思ってしまうが、男性目線から見た浮気はもう少し単純であるようだ。「もう一度だけ、女の子から好きといわれたい」「自分に関心を持ってくれなくなるのが嫌」男性の浮気には、そんなやり場のない気持ちも詰まっているのだと大多和さんは言う。

 それを踏まえて考えてみると、浮気男性は浮気で妻を苦しめながら、自身も満たされない気持ちを埋めようとして苦しんでいるのかもしれない。

 結婚は本当に人生の墓場になってしまうこともある。しかし、墓場からどう這い上がり、どう生きていくかは自分の手で選ぶことができる。離婚という選択肢を選ぶのもひとつの方法だ。しかし、その前に自分にとっての幸せとはなにかを考えながら、パートナーと向き合ってみることも大切なのかもしれない。

文=古川諭香