イメージと全く違った!? 実は“半端ない”ポジティブだったホーキング博士の「今日を変える言葉」【ホーキング名言集(1)】

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2018/7/13

『ホーキング 未来を拓く101の言葉』(桝本誠二/KADOKAWA)

 世界中が大熱狂中のサッカーワールドカップ。今大会も多くの予想外の出来事が起きているが、日本人にとってはなんといっても、日本代表の戦前の予想を裏切る大活躍! これまでの世界が描いていた「日本サッカー」のイメージを覆す“半端ない”プレーに世界が驚いたことだろう。

 最近、この「イメージを覆す」に別の場所で出会ったのが、“車椅子の天才”こと、2018年3月に亡くなった、スティーブン・ホーキング博士の言葉を1冊にまとめた『ホーキング 未来を拓く101の言葉』(桝本誠二/KADOKAWA)の中の一節。宇宙物理学に関する世界的な権威であり、「アインシュタイン以来の天才」とも呼ばれた人なだけにさぞ小難しい(失礼!)言葉が並んでいるのかと思いきや、ウイットとユーモア溢れる言葉が溢れていた。

Q:一日中考えていることは?
「女性。全く謎だからね」

Q:もしタイムマシンがあったらどう使うか?
「マリリン・モンローの絶頂期を訪ねるか、ガリレオが初めて望遠鏡を天に向けた時を訪ねるだろう」

 う~む、真面目そうな外見とは裏腹に意外と女好きだったのかも。
 真面目な話をすると、私の中のホーキング博士のイメージが変わったのが、下記の2つの言葉。21歳にしてALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され、余命宣告を受けたホーキング博士だが、どれ程の絶望を感じ、そこから立ち上がったのかは、博士の言葉から想像するしかない。
 以下、本文中からホーキングの言葉とその解説文を引用したい。

私が21歳のとき、病気により、私の期待値はゼロにまで下げられた。
それ以来、すべてがラッキーだった。

期待をすればするほど夢や希望は膨らむが、破れた時の悲しみは大きい。
それが不治の病となると、言語を絶するほどの悲しみだろう。
ホーキングは将来に希望を持っていた21歳の春に、あまりにも残酷な宣告を受けた。
それでも、考えを切り替え、未来へと向かっていく。
言葉にするのは容易いが、実際に行動するとなると簡単ではない。
絶望的な状況下で気持ちを整理し、切り替えなければならないのだから。
「期待値が地まで落ちれば、あとは上がるだけ」
一縷の望みに目を向けると、「全てがラッキー」になるのだろう。
もしかしたら幸せは、幸福の中よりも絶望の中に潜んでいるのかもしれない。

私は幸運だ。
なぜなら脳は筋肉で出来ていないからだ。

ホーキングのユーモアを交えた言葉だが、真意はALSに侵された肉体からきている。
ALSでは、手足の筋肉がやせ細り、思うように動かなくなっても、自律神経や五感は影響を受けないといわれている。
この状況を、彼は「脳は筋肉で出来ていない」と表現した。
失った筋肉を嘆くのではなく、今機能している脳に感謝している。
超訳すれば、「ないものを数えるのではなく、今あるものを数えよう」ということになるだろうか。
失ったものを指折り数えていたのでは、指がいくつあっても足りない。今あるものを、
大事なものから、数えるのだ。それでも結局、指が足りなくなるだろうが、それは嬉しい悲鳴。
たとえ絶望の淵にいたとしてもこの思考があれば、前を向いて歩いて行けることだろう。
辛い時、苦しい時、落ち込んだ時は、この言葉を思い出してほしい。

 どうだろうか。ないことを嘆くよりもあるものに目を向けることができたからこそ、ホーキング博士は歴史に名を残す功績を上げることができたのではないか。
 残念ながら、もう博士の思想に直接触れる機会は無くなってしまったが、本書にある101の言葉から、博士がどう生き、何を人類に伝えたかったのかを改めて知るのも良いだろう。

文=黒﨑敏光