「人生、60歳まではリハーサル」!? タモリ推薦! サルサブームのトップランナーが綴る人生のエール

暮らし

2018/7/13

『人生、60歳まではリハーサル』(NORA/主婦の友社)

 年をとればとるほど、人生に行き詰まりを感じる。「年は取りたくないものだ」と、嘆きたくなることはないだろうか。そんなネガティブな思考になりそうな時にぜひ読んでほしい本がある。それは、NORAさん著『人生、60歳まではリハーサル』(主婦の友社)。ラテングラミー賞、国連平和賞、米国ビルボード誌11週連続1位という華々しい経歴を持つサルサブームのトップランナーが綴る、これからの生き方のヒントが詰まった一冊だ。本書はタモリさんが推薦する本でもある。タモリさんは自ら“日本ラテン化計画・名誉会長”と名乗り、“サルサ健康法”を提唱するほどのサルサ好きだが、サルサという音楽を知れば知るほど、ラテンのノリを知れば知るほど、NORAさんが綴る彼女の半生を知れば知るほど、なんだか元気づけられていく自分に気づく。

 NORAさんは、日本ではまだサルサになじみが薄い1984年に、サルサバンドであるオルケスタ・デ・ラ・ルスを結成。ボーカリストとして活動しながらも、「このままではデビューできない」と考えた彼女は、単身、バンドのデモテープを持って、サルサの旅へ出た。ニューヨークでは音楽事務所にデモテープを持ち込み、プロモーターとライブの約束を取りつけ、1989年に自費によるニューヨークツアーを実現。そして、このツアーをきっかけに海外で大ブレイク。それは日本にも飛び火し、日本にサルサブームを巻き起こした。

 だが、自分で自分の道を切り拓く彼女でもバンドが解散を迎えた30代後半、人生に行き詰まりを感じるようになったのだという。そんな時に彼女を勇気づけたのは、本書のタイトルでもある「人生、60歳まではリハーサル」という言葉。ソロ活動でのレコーディングのために向かったキューバで出会った、世界的に話題になっていた「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」の歌手でギタリストのコンパイ・セグンドにかけられた言葉だという。彼は2003年に95歳で他界したが、当時91歳。オシャレな帽子を被り、葉巻をくわえながら、元気いっぱいでチャーミングなおじいさんだった。「NORA、人生、60歳まではリハーサルだ。60歳からが本番。君はまだリハーサル中だな」。若くして成功し、当時は人生がもう下り坂のように感じていたNORAさんは、この言葉に強い感銘を受け、その後の彼女の座右の銘としている。

 20歳から50歳までの、ほとんどの人が人生で一番いろいろな経験がある30年間と、50歳から80歳までの30年間は同じだけの時間がある。無意識にそこに気づけないようにしているのは、人生の後半は落ちていくだけというネガティブなイメージに操られているせいに違いない。そんなことで怖がらなくていい。もっとワクワクしていい。それは意識ひとつできっとできるはずだ。39歳で出産し、仕事と育児の両立に悩んだ時も、45歳で子宮筋腫になった時も彼女の心にあったのは、「人生、60歳まではリハーサル」という言葉だった。

 細かいことは気にしないラテンの人たちのおおらかさ。どんな事態でも「なんとかなる」と考えるポジティブシンキング。もがきながらも、チャレンジし続けてきたNORAさんのこの本を読んでいると、自然と前向きな気持ちになれる。悩みをかかえている人、壁にぶつかったと感じている人にこそ、ぜひ読んでほしい。明るく生きるためのヒントにあふれた一冊だ。

文=アサトーミナミ