イジメ、援助交際、レイプ……。過激な内容で連載打ち切りになった話題作が、ついに解禁!

アニメ・マンガ

2018/7/16

『君に愛されて痛かった』第1巻(知るかバカうどん/新潮社)

 2017年11月、突如「連載打ち切り」となってしまった人気作『君に愛されて痛かった』。一部ではその表現の“過激さ”が原因だったのではないかと噂され、一時期、SNS上で大きな話題を集めていた。しかしその後、新レーベルへの移籍が発表され、ファンからは喜びの声が寄せられた。そしてついに、『君に愛されて痛かった』第1巻(知るかバカうどん/新潮社)が発売されたのである。

「これは最底辺の恋の物語」と謳われている本作。描かれているのは、ひとりの女子高生の痛々しいまでの生き様だ。

 主人公・かなえは、人一倍「承認欲求」の強い女子高生。その背景には、中学校時代の陰惨なイジメ体験がある。陰キャラのお前に人権なんてないんだよ。そんな言葉を浴びせられたかなえは、いつからか周囲の顔色ばかりうかがっては、卑屈でいつもビクビクするようになってしまった。そして、満たされないなにかを求めては、「援助交際」を繰り返すようになっていく。

 そんなかなえの人生は、他校の男子・寛との出会いによって少しずつ変わり始める。援助交際の現場を目撃してしまったものの、それでもかなえに優しく接する寛。かなえが彼に恋心を抱くのも当然だった。しかし同時に、それが悲劇の幕開けとなるのだが……。

 本作を彩るのは、イジメや援助交際、レイプといった陰惨なできごとばかり。過激な内容は青少年に悪影響を及ぼしかねない、だからこそ世の中に出すべきではない。そのような判断を下す人も少なくないだろう。

 しかし、本作で描かれているものは、決して絵空事ではない。かなえのように愛情を求め、苦しみ、行き場のない想いを抱いている子たちはたくさんいるはず。そんな子たちにとって、本作は苦しみを代弁してくれる作品になっているように思うのだ。

 ここ最近、マンガにおける表現規制は非常に厳しくなってきている。なるべくキレイなものを、なるべく夢のあるものを描きましょう、と。しかし、はたしてそれで良いのだろうか。現実世界は、決して綺麗事ばかりではない。むしろ、その逆だ。そんな時代だからこそ、本作のように極限まで汚い現実をリアルに描いた作品が必要とされるのだと思う。私はひとりじゃないんだ。同じように苦しんでいる子がいるんだ。そのように共感できる対象が、たとえマンガのキャラクターだったとしても、それは誰かの“救い”になり得る。

『君に愛されて痛かった』。この本作のタイトルには、「君に愛されていたかった!」という少女の叫びも込められているように受け取れる。そしてこれは、決して目を背けてはいけない、いまを生きるリアルな少女の声なのだ。

文=五十嵐 大