こんな保険の営業トークには要注意! 「掛け捨て型の保険はもったいない」はウソ? ホント?

暮らし

公開日:2018/7/16

『マンガでわかる 9割の人が気がつかない保険のヒミツ』(保険ソクラテス編集部:著、吹田朝子:監修/シーアンドアール研究所)

「今や2人に1人ががんになる時代です!」これは、がんの不安を煽る有名なフレーズ。ウソではないが、実際にがんになる確率が2分の1に達するのは「80歳以降」という統計があるのを知っているだろうか? 正しい情報を用いて適切な判断をする重要性は、私たちが保険を選ぶときにも同様だ。
 
 保険の話題は、自分の一生や、貯蓄、投資ついて考える時に避けては通れない。理想のライフプランを破綻させないために必要なものだし、大きな支出にもなるので失敗はしたくない。でも、もし私たちの願望にぴったりの保険を見つけられなかったら…。

 そんな人に、まずは「保険セールスのNGワードだけでも知っておいてほしい」と、セールストークのパターンを教えてくれるのが『マンガでわかる 9割の人が気がつかない保険のヒミツ』(保険ソクラテス編集部:著、吹田朝子:監修/シーアンドアール研究所)だ。各章ごとに失敗エピソードやよくある疑問がマンガで紹介され、NGワードの問題点を通して、保険の正しい選び方を初級者にもやさしく解説してくれる。ここでは、その一部を紹介したい。

■儲け話のようなセールストークには気をつけて

NGワードその1「掛け捨てはもったいないと思いませんか?」
【ここに注意!】保険は「期間限定の保障」に対する支払いが基本。お金を捨てているわけじゃない

 そもそも保険とは「保障」というサービスを買うためのもの。「掛け捨て」というネーミングから誤解しやすいが、安全の保障に代金を支払っているので、その代金が戻らないのは当然。お金を捨てるわけでも、お金が消えるわけでもなく、シンプルに保障だけを買う保険なのだ。一方、掛け捨てではない「貯蓄型」は「保障+積み立て機能」に代金を支払うものなので、保障分と貯蓄分はしっかりと分けて管理されている。つまり、貯蓄型でもすべての保険料が戻ってくるわけではない。

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NGワードその2「銀行に預けるよりも効率よく貯蓄できます!」
【ここに注意!】定期預金と貯蓄型保険はまったくの別物。比較するのは無理がある

「保険VS預金」という限られた2択を提示された場合は注意が必要。たとえば、「定期預金」と「貯蓄型保険」が引き合いに出された場合。スズメの涙ほどしかない「定期預金」の金利を考えれば、「保険で運用」したほうが増えやすいのは事実だ。しかし、途中解約で全額戻らないケースもあり、全額が保障される定期預金とは異なる。また、もし倒産しても1000万円までは全額守られるという銀行のような制度があるわけでもない。それぞれの特性を理解して使い分けるのが正解であって、2つだけを比べることにはあまり意味がないそう。

■保険に入るのはいつがベストタイミング?

NGワードその3「終身型の保険は若いうちに入った方が安くてお得ですよ!」
【ここに注意!】ずっと同じ保障で縛られるのがお得だとは限らない

 これも保険営業でよく使われるセールストーク。終身型の保険の多くは、「保険料がずーっと上がらない」ことが特徴だが、将来の保険料が上がらないように若い頃から多めに払っているに過ぎない。つまり、保険料が一生上がらないというより、保険料が上がらなくてすむよう均等割しているのだ。さらに、「保障内容もずーっと変わらない」とすると、医学や医療が日進月歩で変化しているこの時代に、今の保障内容が20年後、30年後に果たして通用するだろうか? 加入する前にきちんと考えておきたいことだ。

 このように本書では、「不安を煽る」「限定された選択肢のみ提示する」「契約を急がせる」といった営業スタイルには注意したほうがいい、と紹介されている。一方、1冊を通じて保険に関する基本的知識を学ぶことができるので、自分自身のライフスタイルに合った保険を選ぶための心強い味方にもなるだろう。本書では女性向け保険、学資保険、介護保険など多岐にわたって解説されているので、まずはマンガを読み、今の生活や悩みごとに合った項目から読み進めていくのもいい。

 忘れてはならないのは、必要とする保険に“自分の”ベストタイミングで加入すること。そのためにも、顧客本位で考えてくれる保険サービスにあなたが出会えることを願うばかりだ。

文=吉田有希