働く女性は共感必至! なりたい自分になるために魔法少女が奮闘する『魔法世界の受付嬢になりたいです』

文芸・カルチャー

2018/7/17

『魔法世界の受付嬢になりたいです』(著:まこ、イラスト:まろ/フロンティアワークス)

〈働く女性の“読むサプリ”〉をコンセプトに、異世界や魔法世界で女の子が恋や冒険、仕事にまい進する物語をそろえた大人気レーベル「アリアンローズ」。
 今月の新刊『魔法世界の受付嬢になりたいです』は、前向き女子が主人公の、ほのぼの異世界お仕事ファンタジーだ。

 魔法があふれる世界に生きるナナリー・ヘルが目指すのは、魔導所ハーレの“受付のお姉さん”。夢を叶えるため王国の魔法学校に入学するけれど、他の生徒たちは貴族の子女ばかりだった。しかも隣の席の男子生徒、名門公爵家の子息ロックマンは何かにつけてナナリーを挑発してくる。
「庶民の意地を見せて一番になってやる!」
 と、猛勉強の末に優秀な成績で卒業したナナリーは、みごと魔導所に就職し、念願の受付嬢となるのだが……。

 小説投稿サイト「小説家になろう」に発表され、壮大な世界観と緻密な設定、魅力的なキャラクターたちが繰り広げる大冒険が高い人気を集めて書籍化された。第1巻は〈王国魔法学校編〉と〈ハーレ就業編〉の二部構成となっている。

 幼い頃に父親に連れられていったハーレで、受付で働くお姉さんを見た瞬間、ナナリーの世界は一変する。なりたい職業を見つけて、なりたい自分の未来像を思い描いたそのときから人生が動き出す。

 前半の〈王国魔法学校編〉では、彼女の12歳から18歳までの学校生活が細やかに綴られている。専門分野ごとに系統化された魔法の授業。貴族と庶民の間に流れる階級意識と相関関係。魔法の実力を競い合う大会。そして卒業間近の大イベント、ダンスパーティー。
 学年が上がるにつれて周囲の男子と女子たちには恋の気配も生まれてくるが、勉強ひと筋のナナリーは恋愛ごとには興味なし。首席の座を巡って喧嘩しあってばかりいるロックマンの、その複雑な男心にも気づかない。
 特にこの前半部は青春小説としても読みごたえたっぷりで、ファンタジー作品を読み慣れていない人でも、すいすい読めるだろう。

 後半の〈ハーレ就業編〉では、晴れて受付嬢となったナナリーの社会人生活が展開する。依頼人相手の対応術からはじまり、外仕事、値段交渉と、じょじょにスキルと経験を積んでようやく一人前になれるのだけど、新人ゆえに今はまだ業務をこなすだけで、いっぱいいっぱい。でもこれはどの仕事でも同じこと。
 ときには自分の未熟さに歯噛みしながらも、一歩一歩、少しずつ、なりたい自分に近づいていくナナリー。その姿には、働く女性ならもれなく共感してしまうはず。

 夢を叶えるために努力して、夢を叶えた後も努力は続く――。青春、お仕事、そして魔法。様々な要素を盛り込んで、ひたむきな女の子の成長と人生が著者独特のあたたかな筆致で紡がれている。

文=皆川ちか