あなたの話、ちゃんと伝わってる?「わかりやすい!」と思われるために必要なこと

ビジネス

公開日:2018/7/19

『読ませる技術 聞かせる技術(ブルーバックス)』(海保博之/講談社)

 何かを伝えるのって難しいなと、ライターのはしくれとしても常日頃考えてしまうものです。とりわけ今は、日常的に誰もが何かを表現し続けている時代。ブログやSNSが世間に浸透してからは、その大切さや難しさを多くの人が身近に感じていることでしょう。

 そんな現代だからこそ、手に取ってほしい1冊が心理学の専門家による『読ませる技術 聞かせる技術(ブルーバックス)』(海保博之/講談社)。認知表現学をベースにした本書は、具体例を織り交ぜながらコミュニケーションの基礎から応用までを学べる内容となっています。

◎頭の中のアイデアを整理するために役立つ“KJ法”

 文章を書くとか、イラストを描くとか表現の手法はさまざまです。誰にも共通していえるのは、初めに、頭の中でぼんやりとでも“これを伝えたい!”という思いが芽生えるということ。しかし、どうやってそれを具体的に表現すればよいかと、二の足を踏んでしまう瞬間も少なからずありますよね。

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 そんなときに役立つ方法として、本書では「KJ法」と呼ばれる物事を整理するためのメソッドが紹介されています。

 何かを表現するとなったとき、きっと頭の中にはさまざまなキーワードが浮かんでいるはずです。KJ法はこのバラバラに浮かんだ情報を、1枚のシールや付せんに綴っていくようなイメージで結びつけるための手法です。

 頭の中に思い浮かんだ情報を言語化したあとは、例えば、細かな情報をテーマや時系列などに関連した情報を並べたのち、それぞれの大きなまとまりを線や矢印などでつなぎ合わせながら、一つの表現としてまとめていきます。

◎わかりやすさはなんとなく「わかりそう」と思わせられればOK

 近ごろ、わかりやすい表現や“わかりやすさ”といったキーワードも、よく目にするような気がします。しかし、万人にとってわかりやすい表現というのもけっこう難しいところ。デキる人は、とにかく「わかりやすい表現をする」という話もよく言われることですが、本書は、この課題についてもヒントを与えてくれます。

 例えば、会話ならば「~知っていますか」「~についてどう思いますか」といった具合に、相手の感触を確かめながら話を進めることができます。しかし、それよりも難しいのは、文章で何かを表現するとき。自分の情報を相手がどんな温度で受け止めてくれるかなどは、想像するとキリがなくなってしまいますよね。

 そこで、一つ取り入れたい工夫は、導入部で「アレッ、どうしたんだろう、と思わせる素材を用意する」ということ。本書によれば、「じっくり考えないとアレッと思わないような素材」はダメで、例えば、ちょっとした実験や絵、実例、クイズ形式の質問などから、相手の心をつかむのが大切だといいます。

 また、なんとなくでも相手に「わかりそうと思わせる」のも表現するための秘訣。文字だけではなくイラストや写真を交えたスライドや、相手が体を動かせるような企画を取り入れたプレゼンなどもその例で、とにかく堅苦しくなく、こちらの表現が「わかりそうだ、わかった」という感触をもたらすような表現をするのも心がけておきたいところです。

 表現という言葉には答えがなく、突き詰めると時間がどれほどあっても足りなくなるほどです。しかし、日常的に何か伝えるための選択肢が広がってきた現代人にとっては、頭を悩ませがちな課題。時代はとらえた本書は、そんな私たちに様々な“伝えるためのヒント”を与えてくれることでしょう。

文=青山悠

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