「可愛くないのって疲れない?」誰からも愛される女子になれる新感覚少女マンガ

マンガ

更新日:2018/8/6

『カワイイ私の作り方』(六多いくみ/日本文芸社)

 今から数年ほど前に、某シャンプーのCMの「カワイイはつくれる!!」というキャッチフレーズが話題になった。しかし、その言葉に疑いを持っているこじらせ女子もいるのではないだろうか。そんな方にこそ読んでほしいのが『カワイイ私の作り方』(日本文芸社)だ。本作は元ビューティーアドバイザー(BA)の六多いくみ氏による美容法が盛り込まれたコミック本で、今すぐ実践できる「カワイイの作り方」が詰まっている。

 主人公であるこじらせアラサー女子の浅黄秋(あさぎ みのり)は同棲していた5年越しの彼氏に振られたことがきっかけで、自分とはまったく違うキラキラ女子の蒼井春乃と出会う。秋は当初、「私はカワイイ女にはなれない」と諦めを抱いていたが、「可愛いは作れるのよ?」という春乃の言葉を聞き、自分自身の可愛くない部分を改善しはじめていくようになるのだ。

 本作の中でキラキラ女子代表として描かれている春乃は、男性を自然に褒めることができ、狙っている相手と話すときは1オクターブ高い声を自然に出せるほどの小悪魔でもある。そのため、春乃は一見ぶりっ子のように見えるかもしれない。

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 しかし、春乃はただ単に男性に好かれる「可愛さ」ではなく、同性からも慕われる「可愛さ」を身に付けている。彼女は見た目だけでなく、中身も可愛く魅力的な自分であろうと努力し続けているのだ。だからこそ、春乃が秋へ発するアドバイスや言葉は心に刺さると、SNSでも話題になっている。

「可愛くないのって疲れませんか?」

「人って他人の粗が大好きで仕方のない生き物よね…でもそれがなんだっていうの?そんなことでいちいち傷ついてる暇があるなら自分を磨けばいい」

 そんな名言を発する春乃は女性としてだけではなく、ひとりの人間として輝いているキラキラ女子なのだ。対照的な2人が繰り広げる変身ストーリーは、自分自身の磨き方を考えるきっかけを与えてくれるだろう。

■ほんの少しの勇気で女性は可愛くなれる!

 本書はこじらせ女子である秋に親近感を抱きやすいという点も魅力であり、Twitter上には「秋に共感できる」というコメントも多く寄せられている。

 周囲への気配りが自然にでき、いつでも可愛くいられる春乃は同性から見ても理想的な女性だが実際は秋のように、卑屈になってしまったり周囲への気配りが不足していたりする人も多いのではないだろうか。

 そうした自分で居続けていると「元が悪いから可愛くなれない」「自分の磨き方が分からないからキラキラできない」と心に言い訳し、変身のチャンスを自らの手でつぶしてしまうこともある。しかし、どんな人でも少しの勇気を持てば、可愛い女性になれるのだ。「自分の身の丈なんてわきまえている」と思いこんでいる女性は多いように思うが、そんな方こそぜひ、春乃が紹介してくれる美容法や、秋が行う「自分の磨き方」を見て、“可愛い私”を作っていってみてほしい。

 なお、本作はpixivと日販が開催する「WEBマンガ総選挙」のノミネート作品50本に選ばれていることでも、注目を集めている。ココロを彩る、comicフレーバーズ、新レーベル発の新感覚少女漫画は、自分を変えるきっかけを与えてくれそうだ。

文=古川諭香