おじさんを手玉に取る! 元銀座No.1ホステスが教える出世術とは?

ビジネス

公開日:2018/8/2

『元銀座No.1ホステスが教える おじさん取扱説明書』(鈴木セリーナ/鉄人社)

 先輩や上司、はたまた取引先の人など、仕事のキーパーソンに上手く取り入るというのもまた“デキるビジネスパーソン”にとっては欠かせない要素だ。さて、このキーパーソンであるが、多くの場合は“おじさん”であるというのが常。例えば、大きなプロジェクトの決裁権を持っていたりするのも、その世代であるのが少なくないはずである。

 おじさんというとネガティブな言葉もちらほら思い浮かぶが、一流のおじさんを見抜き、上手く味方に付けることが大切だと伝えるのが、元・銀座ナンバーワンホステスの著者がまとめた『元銀座No.1ホステスが教える おじさん取扱説明書』(鈴木セリーナ/鉄人社)だ。若い女性のみならず、男性ビジネスパーソンにも役立つ本書には、おじさんを“虜”にするためのノウハウが凝縮されている。

◎人は見かけで判断すべし! 重要なのは全身のバランス

 人を見かけで判断してはいけない。よくいわれることであり、もちろん地味な服装の人が、じつはとんでもない金持ちなんてケースも往々にしてありうる。しかし、本書が提案するデキるおじさんの見抜き方は、むしろ「人を見かけで判断する」という方法だ。

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 著者は自身の経験から、「そもそも優秀なおじさんや売れっ子ホステスは、人を見かけで判断する“眼力”が備わっている」という。そこで重視しているのは、トータルで見た場合のバランス。例えば、スーツだけ上等なものを着ていても、安物のシャツを着ている場合には「もともとお金がないのに、無理をして着飾って、銀座のお店に着ている人なのだ」という仮説を立てるのだそうだ。

 また、服装が重要なのは「どれだけ相手に不快感を与えないよう自分に投資しているか」という基準になるから。これはひるがえって自分が相手と会うときにも意識すべきポイントで、加えて、コーディネートする上では「相手からどう見られたいか」を念頭に置くべきだとアドバイスする。

◎あえて下調べをしない! 初対面の相手とは“無”のまま接する

 例えば、取引先へ初めて足を運ぶ場合。相手の会社の近況などを、綿密に下調べしておくのはビジネスの基本的なマナーである。しかし、著者は必ずしも「下調べが最重要事項であるとは思いません」と主張する。その上ですすめるのは、むしろ「先入観を持たない」ままに相手と向き合ってみるという方法だ。

 銀座のナンバーワンホステスであった著者は、現在、タレントのマネジメント会社を経営している。日々の業務では「あえて事前の下調べをしないで初見の打ち合わせに臨むことにしている」というが、理由の一つにあるのは、現代でいえばネットの情報が必ずしも正しいわけではないため。たいていの場合、相手から「うちはこういう会社でね」と丁寧に説明される機会が多いという。

 また、著者は自身の経験から「仕事がデキる男性は付け焼き刃の知識を披露されるより、“無”の状態から興味を持ってくれる相手にこそ心を開きます」と主張しているが、一夜漬けの知識は見抜かれるというリスクも伝えている。世の中では“バカになれ”なんていう言葉もあるが、いずれにせよ背伸びをせずに、相手と向き合う姿勢も大切だということが垣間見える。

◎怒るオヤジと向き合う! 理不尽な場合と自分が悪かった場合の対処法

 酒の席で時折、説教するどころか突然どなり散らすようなおじさんも少なからず見かける。ホステス時代は「自分より格下の存在」と見ている人もたくさんいたことから、そんなおじさんがたくさんいたと振り返る著者は“怒るオヤジ”との向き合い方を伝授する。

 そんな場面で一番やってはいけないのは、相手に「でも、こう言いましたよね」など正論をふりかざすこと。歯向かってしまうと、相手は自分の非を認めるどころか、よけいにこちらを責め立ててくる可能性があるため、怒りが収まるのを待ったり、相手に同調しながら自分から「大人の対応」をしたりするのを心がけるべきだという。

 また、これは酒の席に限った話ではないが、理不尽に相手が“キレ始める”のではなく、自分に明らかに過失があった場合は「自分一人で直接、相手に会って謝罪すること」が必要だという。もちろん組織であれば先輩や上司への報告は必須だが、できる限り誠意を伝え、素直な姿勢が受け入れられればむしろ相手との“絆”を深められるチャンスにも変えられるという。

 とりわけ若手の場合、おじさんの心を手玉に取るということは出世への近道にもなりうる。男性か女性かを問わず、著者のアドバイスはどのビジネスパーソンにとっても大きなヒントになるはずだ。

文=カネコシュウヘイ