正しい作り方にこだわらない、“ないない”レシピで、今日もおいしい晩ごはん【作ってみた】

食・料理

公開日:2018/8/3

『その手があったか! おつかれ晩ごはん 時間や気力がないときほど役立つ、料理上手さんたちのラクうまレシピ&アイデア』(家ごはん研究会/KADOKAWA)

 仕事が終わって帰宅する際中、いつも頭の中は「今日の献立どうしよう」でいっぱいになっていませんか? たまにだったら思い浮かぶものも、毎日だと手間もかけたくないし、考えつくレシピにも限界が…。そんな時には『その手があったか! おつかれ晩ごはん 時間や気力がないときほど役立つ、料理上手さんたちのラクうまレシピ&アイデア』(家ごはん研究会/KADOKAWA)が使えます。

 ここには、料理上手なインスタグラマーやブロガーが、一般的に料理を作る際に言われているような“正しい作り方”にはこだわらず、いかに手間をかけずに、簡単に、でもおいしく作れるかにこだわって生み出したレシピばかりが紹介されていて、「これでいいんだ」と、気持ちをラクにしてくれる1冊です。そこで本書から、量らない、戻さない、手間をかけない、“ないない”レシピ3品を実際に作ってみました。

1、分量ははからず、“だいたい”でできる「適当シェパーズパイ」(P.31)

 サラダ油を熱したフライパンでみじん切りした玉ねぎを炒め、そこに合いびき肉を入れて色が変わるまで炒める。さらに、ケチャップ、中濃ソース、こしょうを加えてざっと炒める。これを耐熱容器に入れ、その上に溶けるチーズ、ゆでてつぶしたじゃがいもにマヨネーズ、牛乳、こしょうを混ぜ合わせて作ったマッシュポテトの順に重ね、200℃のオーブンで表面に焼き色がつくまで焼けば完成。

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 1品目は、計量スプーンなどは使わず、だいたいの分量で作ったシェパーズパイレシピです。もともとのシェパーズパイは、羊肉やトマトピューレ、シナモン、タイム…といった、普段絶対使わないような材料が必要で、その時点で無理! となりますが、ここでは合いびき肉×じゃがいも×チーズという、すぐに揃う材料で作りました。

 しかも、分量は“だいたい”。一般的な料理本には、材料ごとに正確な分量が書かれていて、まじめな人はそれを1つ1つきちんと守っていくと思いますが、本書のレシピには、合いびき肉はひとつかみ100g、牛乳はフライパンぐるっと1周分で約50mlと、だいたいの目安が書かれているので、量るのが面倒な人もその通りに入れるだけで、ちゃんと料理は完成します。

 食べてみると、溶けたチーズがひき肉炒めにも、マッシュポテトにもうまく絡み、子どもから大人まで大好きな、間違いない味に。このいい加減具合で、この完成度は、かなり感動しますよ。だいたいの目安を把握しておけば、他の料理でも応用できていいですよね。

2、戻さない「湯かけ春雨サラダ」(P.46)

 ざるに、せん切りしたきゅうり、緑豆春雨の順に重ね、熱湯を全体に回しかける。これをボウルに入れ、しょうゆ、砂糖、酢を加えて混ぜ合わせ、5分おく。さらにロースハム、ごま油、白すりごまを加えて混ぜ合わせれば完成。

 2品目は、いわゆる春雨サラダレシピですが、他のレシピと大きく違うのは、「春雨を戻さない」こと。普通は、お湯でゆでて春雨を戻しますが、ここでは、お湯を“かける”だけ。これで本当に春雨がやわらかくなるの?と心配になってしまいますが、作ってみると、春雨は調味料を吸ってやわらかくなっていて、いつものゆでた春雨と戻り方は変わりませんでした。むしろ、春雨にしっかり味がしみ込んでいて、噛むたびに味が楽しめます。ちなみに、湯をかける時は、春雨全体が透明になるぐらいまでお湯をかけるのと、できれば細めタイプの春雨を使うことで、時短にも繋がるとのこと。

3、とりあえずある材料で作れる「なっとうたまご」(P.108)

 ボウルに卵を割り入れてよく溶く。ここに、納豆と付属のたれを加えてよく混ぜる。ごま油を熱したフライパンに、先ほどの卵液を流し入れ、軽く半熟になるまで火を通し、アツアツご飯の上にのせれば完成。

 3品目は、冷蔵庫に必ずあるであろう卵を使ったレシピです。給料日前で食費がピンチなときでも、いつも卵だけは冷蔵庫に入っていたりしませんか? おいしい上に栄養価が高く、日持ちがする。しかも、数十年ずっと価格は安定していると、まさに超優秀な食材です。そんな卵は、いろいろな料理に使えて便利ですが、ここでは、これまた冷蔵庫の常備食材・納豆を使って、一緒にささっと炒め、ご飯にのせるだけで、立派な丼になりました。

 ポイントは、火を入れすぎず、半熟状態で仕上げること。これにより、とろとろの卵がご飯にも絡んで、味の一体感が出ます。いつもは、ご飯と納豆という組み合わせの人も、そこに卵が入るだけで、一気にボリューム&満足度がUPしますよ。ささっと作ってしまいたい、夏休みの子どものお昼ごはんにもぴったりです。

 ここで紹介したレシピ以外にも、ゆでない麺料理、マヨネーズで味つけなど、思わず「えっ、ほんとにいいの?」と突っ込んでしまいたくなるレシピが満載で、これなら自分にも作れるかもと、勇気がもらえます。

おいしくて体にいいものが食べられるなら、手軽に作れるのが1番

 レシピ本通り作ろうとすると、分量から作り方まで、一言一句間違えないように読みながら作るので、時間はかかるし、作ること自身に疲れてしまったりします。ですが、結果的においしくて体にいいものが食べられるのであれば、作る人が楽しく、手軽に作れるのが1番。もっと日々の料理作りを、肩肘張らずにやりやすい方法でやってみませんか? そうすることで、きっともっと料理が好きになりますよ。