よかれと思ってやったことが裏目に…そんな残念な人はすぐチェック。上手な気づかい31例

ビジネス

公開日:2018/8/2

『損する気づかい 得する気づかい』(八嶋まなぶ/ダイヤモンド社)

 気づかいとは「相手をおもんばかること」と言われる。でも相手のことを思い、自分ではよかれと思って行動したのに上手くいかなかった…という経験は、誰にでもあるのではないだろうか?

 実は、気づかいには一定の法則や望まれる型があり、このパターンと自分が思う気づかいにズレがあると、どれだけがんばっても「気が利く人」とは認めてもらえない、と説くのが本書『損する気づかい 得する気づかい』(八嶋まなぶ/ダイヤモンド社)である。

 気づかいはスキル、だから正しいやり方を学べば誰でも身につけることができる、そして気づかいが上手くなると仕事、さらに人生も楽しくなる!という著者の主張を少し一緒にのぞいてみることにしよう。

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■タクシーに乗るときの上手な気づかい

 ビジネスマナーで必ず教わるといっても過言ではない、席次(座る席の順番)。上座・下座は色々なシーンごとに変わるが、たとえばタクシー(車)の上座・下座についてあなたはどう理解しているだろう?

 一般的に「タクシーの上座は運転手のうしろ(後部座席の右側)」とされており、目上の人と一緒にタクシーに乗る際は「奥にどうぞ」とすすめるのがマナー。実践している人は多いのではないだろうか。だが、ちょっと考えて欲しい。本当に相手は奥に座りたいと思っているか、確認したことはあるだろうか?

 本書は、大切なことは「型にこだわるよりも相手の居心地のよさを考える」こと、と説く。確かに、大柄な人物は後部座席で奥に移動するのも面倒なときがあるだろう。その都度確認してからすすめるというひと手間(気づかい)が大切、という言葉に納得させられた。

■場をしらけさせない上手なほめ方

「ほめ上手は喜ばせ上手」だとよく聞く。仕事やプライベートで必ず役立つのが上手く相手をほめるテクニックだ。けれども、いざ実際に相手をほめようと思ったものの、なんだか上手くほめられず、かえってウソっぽく捉えられて場がしらけてしまった…そんな悩みに対して、著者は「何をほめるか」そして、「どんな言葉をチョイスするのか」の2つの要素が大切だと述べる。

 具体的には相手の「性格」「見た目」「行動や仕事ぶり」について、「〇〇『が』できるんですね」とほめるのではなく「〇〇『も』できるんですね」と挙げてみる。それだけでほめ言葉を受け取る相手を肯定する力がぐんと変わる、というのが著者のアドバイスである。すぐ実践できそうなこの気づかい、ぜひ身につけたいものである。

■相手に気をつかわせず、スマートに時間を確認する

 もうひとつ著者の提案する「得する気づかい」のパターンを紹介しよう。それはプレゼンや会議、打ち合わせなど、時間制限のあるビジネスシーンでの振る舞いである。決められた時間を守る、というのはビジネスパーソンにとってとても大切なことだ。けれども、時間を気にしすぎて時計やスマホの画面をチラチラ見てばかりいると、逆に相手に不快な思いをさせてしまうかもしれない。

 では、どうすればスマートに時間を確認できるのだろう? ――本書では簡単でありながらなかなかおもしろいテクニックを紹介している。個人的にも「お、こんな方法があるのか!」と感心させられた。興味を持ったならぜひ本書を手に取って、チャレンジして欲しいと思う。

 上記で紹介した以外にも、本書ではビジネスにおける31もの場面ごとの「気づかい方法」が具体例とともにまとめられており、気づかいができているかどうかのチェックポイントがリスト化されている。ある程度社会経験のある人ならば、すべてをそのまま鵜呑みにする必要はないだろう。だが、気づかいは他人のためだけにあるのではなく、自分の本当の魅力や実力を最大限発揮するためのツールとして存在する。そう語る著者の言葉に共感するならば、本書はきっとすぐにあなたの役に立つはずだ。この本をきっかけとして、ぜひ素敵な気づかい方法を体得してみてはいかがだろう?

文=ナカタク