「大事なやつってどう大事にすればいいんだろうね」――クール店長×大学生の年の差ピュアBL

アニメ・マンガ

2018/8/8

『トワイライト・アンダーグラウンド』(秋平しろ/大洋図書)
『トワイライト・アンダーグラウンド+』(秋平しろ/大洋図書)

「BL初心者でも読める、イチオシの漫画ある?」と聞かれたら、迷わず絶対、オススメする作品が『トワイライト・アンダーグラウンド』(秋平しろ/大洋図書)だ。いや、むしろ初心者じゃなくて、BLを読みまくり「最近、なんか飽きてきたかも」という歴戦の腐女子にこそ読んでもらいたいかもしれない……。

 ライブハウスでバイトをしている大学生の古川くん。大好きな音楽と楽しい仲間たちに囲まれて、明るく元気な古川くんはハッピーライフを満喫している。だが、唯一の問題は店長の北山さん。

 口数が少なく、誰に対しても不愛想な北山さんだが、どうも自分には格別当たりがキツイのだ。古川くんは「店長に嫌われているんだろうなぁ」と思いながらも、気にしないようにバイトを続けていた。

 しかしある時、北山さんの秘密を知ってしまう。北山さんはゲイで、「ノンケの好きな人がいる」らしい。それから古川くんは、自分だけに厳しい北山さんが好きなのって、もしかして俺?……と気になってしまうように。それから積極的に北山さんに接近してみるが……。

 本作の何に一番感動したかというと、BLの売りのひとつである「アダルトシーン」が(ほぼ)ゼロということだ。下世話に言ってしまうと、二人は(ほぼ)ヤラない。なのに、こんなにも「萌える」なんて。改めて、BLを舞台にしたキャラクターたちの関係性とか、恋愛模様といったプラトニックさも「好き」なのだと実感した。……というわけで、色々な人にオススメしたい一冊なのだ。

 北山さんと古川くん。とにかくピュア。とにかく可愛い。二人とも、お互いのことが大好きなのだが、好きだからこそ、素直に言えないことがあって不安になったりする。そういう部分は、少女漫画のテイストを醸し出しつつ、男同士だから生じる「葛藤」も丁寧に描かれており、しっかりBLなところもスゴイ(好き)。

 続編の『トワイライト・アンダーグラウンド+』(大洋図書)では、めでたく古川くんは北山さんと付き合うことになる。しかし、キス以上のことをしてくれない北山さんに、古川くんはちょっと不満。

 もうすぐ大学は卒業。ライブハウスでのバイトも辞める。北山さんと過ごせる時間が少なくなってしまう前に、古川くんはどうしても、しっかりとした「恋人としての繋がり」がほしいのだが……。

 一方北山さんは、ノンケで、まだ学生の古川くんの将来を、ゲイの自分に「巻き込む」ことを恐れていて……と、お互いを想うあまりの、すれ違いマックス胸キュン展開になっている。

 基本的にクールな北山さんは「大人」で、無邪気で子供っぽい古川くんをスマートにリードするのだが、いざという時、優柔不断で決めきれない北山さんを引っ張るのが、古川くんだという展開にも、とても萌える。いつもは「攻め」に守られているけれど、いざとなったら「攻め」よりも精神的な「強さ」を発揮して、彼を支える「受け」に尊さを感じるのは私だけでしょうか(笑)。

 改めて「BLってやっぱいいよね」と思えた本作。癒されました。ぜひ、その後の二人も読みたいです。

文=雨野裾