精神的に追い詰められ自殺する社員も。大東建託「アパート経営商法」の闇とは?

社会

2018/8/3

『大東建託の内幕 “アパート経営商法”の闇を追う』(三宅勝久/同時代社)

 不動産にまつわる話は、専門知識のない一般人にとって難しいと思うことがほとんど。相続税などの法律のことが絡むと、ますます苦手だと感じてしまう人も多いだろう。そんな一般人の苦手意識につけこむかのように、「空いている土地でアパート経営をすれば儲かる。家賃は30年保証する。子どもに資産を残すことができる」と、甘い言葉で誘いかけたのが大東建託だ。本書『大東建託の内幕 “アパート経営商法”の闇を追う』(同時代社)は、フリージャーナリストの三宅勝久氏が、TVCMを頻繁に流しているような大企業の信じられないような内情に切り込んでいく。

 三宅勝久氏は、大東建託が引き起こした事件の裁判を傍聴したことで、大企業の闇に気づく。元新聞記者である著者が、9年間追い続けた大東建託がらみの事件や当事者の声を、丁寧かつ落ち着いた文面で綴っている。

 いくつもの大東建託がらみの事件を「マイニュースジャパン」で記事にするのだが、そうしていくうちに大東建託の元社員や、大東建託でアパートを建設した当事者たちから、「大東建託のおかげでひどい目にあった」という悲痛な声がたくさん届くようになる。それは、この一冊に数多くまとめられている。

 大東建託の社員に勧められてアパートを建てたが、二部屋あるはずの部屋が一部屋だったといった施主の事例や、営業のノルマに苦しみ、架空の契約を平気でするようになる社員など、崩壊した実情が浮かび上がってくる。さらには、精神的に追い詰められて自殺する社員や、元社員が起こした顧客の殺人未遂事件など、悲惨な事件もいくつも記されている。

 高齢者や不動産の知識のない一般人を狙い、言葉巧みにアパート建設を誘導する大東建託の社員のやり口はひどいものだが、社員も上司から激しい叱責を受け、ノルマに苦しめられており、さらに犠牲者を増やし続けているのだ。

 本書の基となる記事が掲載された「マイニュースジャパン」は、会員向けの有料のニュースサイトだ。このサイトは、企業のスポンサーに頼らず、読者の会費のみで運営されているため、公正かつ信頼できる情報であるといえよう。

 それにしても、TVや大手インターネットのサイトで大東建託の不祥事が報じられていない現実というのに驚いてしまう。本書を読むと、都合の悪い現実は隠すというような社会の闇についても、同時に深く考えさせられることになる。

文=長祖久美子