快腸を心がけると、免疫力アップで快調に。腸を元気にする生活習慣のススメ

健康・美容

公開日:2018/8/7

『消えない不調は「腸疲労」が原因 最強の免疫力のつくり方』 (藤田紘一郎/大和書房)

 小麦や鶏卵などに対する食物アレルギーをはじめ、杉やブタクサによる花粉症、アトピーなど、アレルギーに悩む人は多い。その悩みを解消したい方に注目してもらいたいのが『消えない不調は「腸疲労」が原因 最強の免疫力のつくり方』(藤田紘一郎/大和書房)だ。

 著者は感染免疫学の第一人者、藤田紘一郎氏。ヒット作『腸内革命』(海竜社)や数々のテレビ出演などで知られる“腸のスペシャリスト”でもある。本書では、日本人の2人に1人がかかっているといわれるアレルギー疾患を、腸内細菌を活性化して腸の力を高めることで改善する方法を解説している。腸にそんな力があるの?と思う方もいるだろう。そんな人のために、腸の力を高めると体全体にとってどんないいことがあるのか、本書の一部を紹介していきたい。

■アレルギーは、腸が疲れていると起こりやすい

 ご存じの方も多いと思うが、アレルギーというのは免疫反応の一種。通常は病原菌などの異物が体内に侵入すると、免疫システムが働いて異物を排除する。この免疫システムが、本来、人体には無害な物質(アレルゲン)を敵と誤認し、その物質を排除しようと攻撃して体内の粘膜で炎症を起こしているのが、アレルギーなのだという。

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 アレルギーの発生メカニズムはとても複雑で、人体を守るためにある免疫が、なぜ人の健康を阻害してしまうのか、その原因は現在の医学でもはっきりとはわかっていない。しかし、著者は次のように指摘する。

このような誤作動(アレルギー)が起こるのは、人体最大の免疫器官である腸の力が弱まっている(腸疲労)からだと私は考えています。

 人間の腸には、200種類、100兆個という莫大な数の細菌がすみついているそうだ。その腸内細菌たちはとても働き者で、免疫システムの強化と調整に働き、腸粘膜の再生を助け、消化吸収を手伝い、ビタミンを合成し、大便を作り、腸内の不要物をまとめて外に押し出すなど、数多くの働きをこなしている。だが、現代に生きる我々の腸内環境は、腸内細菌にとっては非常に厳しいものになっているらしい。その結果、腸内細菌が減り、バランスを崩して、免疫力が低下。それがアレルギーの要因につながっているのだという。

 腸が疲労する一因は「清潔至上主義」だとも著者は指摘する。生活のなかでばい菌を減らすためのグッズは多く出回っているが、それを当たり前のように多用する生活が腸内細菌にどんな影響を与えるのか、驚きの解説を本書で知ってもらいたい。

■食事や生活習慣を変えれば、腸内環境は改善される

 本書の後半では「腸を鍛える食事」や「腸疲労の不調がなくなる生活習慣」が紹介されている。

 そのなかで免疫力を高めるには、活性酸素の発生量を抑えることが大事だそうで、「糖質制限食」を推奨している。糖質制限はダイエット目的で流行の食事法のひとつだが、本書では、特に白米や小麦粉製品、砂糖など、“白く精製された食品”をとり過ぎないことをすすめ、ご飯ならば玄米や五穀米、パンならば全粒粉のもの、麺ならば十割蕎麦というように、主食を全粒穀物に切りかえることがすすめられている。

 料理には必須の油(オイル)においては、我々が日常的にとっているオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ9脂肪酸のうち、炎症を抑えて免疫力を強くする効果があるとしてオメガ3脂肪酸の摂取がすすめられている。具体的に挙げるとオメガ3脂肪酸が豊富なのは、亜麻仁油、えごま油、油以外では青魚だ。ほかにも「食前キャベツ」や「ヨーグルトより納豆」など、腸を元気にするために役立つさまざまな食事法が解説されているので、日常生活の参考にしてもらいたい。

 著者が述べるように腸が人体で最大の「免疫器官」であるのなら、腸内細菌を増やして腸内環境を整えていくことは、アレルギーばかりでなく、日々、我々が感じているちょっとした体の不調にも効果があるのではないだろうか。毎日を健やか、かつ快調に過ごしたいという方に読んでもらいたい。

文=井上淳