『君の名は。』のコミックス・ウェーブ・フィルム最新作『詩季織々』初日舞台挨拶レポート

エンタメ

2018/8/7

 日本国内で興収250億円、世界興収で3億5800万ドルを数え、日本映画最大のヒット作となった『君の名は。』(新海誠/監督)。同作を世に送り出したアニメーション制作会社、コミックス・ウェーブ・フィルムの最新作が、中国の3都市を舞台に人々のすれ違いと絆を描いた青春アニメーション『詩季織々』。「陽だまりの朝食」「小さなファッションショー」「上海恋」の3編から成るオムニバス作品だ。

 同作は中国のアニメーション制作会社Haoliners(ハオライナーズ)の代表も務めるリ・ハオリン監督から、コミックス・ウェーブ・フィルムへの熱烈なラブコールから始まった。『君の名は。』公開の10年近く前、新海監督の『秒速5センチメートル』(2007年)を観て衝撃を受けたリ・ハオリン監督は、その後の活躍で中国では有名なアニメーション監督となり、2013年にコミックス・ウェーブ・フィルム代表取締役・川口典孝氏にコンタクト。数年をかけたやり取りの中で、リ・ハオリン監督をプロデューサー兼総監督として、「衣食住行」をコンセプトに3つのエピソードから成るオムニバス形式とすることが決まった。

 3編の監督は、リ・ハオリン監督に加えて、『君の名は。』他の新海作品で3DCGチーフを務めてきた竹内良貴監督と、中国で実写映画を撮ってきたイシャオシン監督と、若い才能が出揃った。

 2018年8月4日の公開初日には、リ・ハオリン監督、竹内良貴監督、坂泰斗さん(「陽だまりの朝食」主演)、大塚剛央さん(「上海恋」主演)、そして主題歌「WALK」を担当されたビッケブランカさんが舞台挨拶。初日を迎えた気持ち、撮影秘話などが語られた。

 同日、中国でも1000スクリーン以上の同時公開を迎え、リ監督は「この日本と同じタイミングで中国でも観て頂けるなんてとても不思議。これを機に中国文化とのコミュニケーションを取れたらと思います」と話した。そして、「10年前に『秒速5センチメートル』を観て心に衝撃を受けました。その10年後に夢が叶い、皆さんに感謝しています」と謝意を伝えた。

 その『秒速5センチメートル』にCGスタッフとして携わった竹内監督は、「そんな縁があり、10年後に中国作品に携わることになるとは思っていませんでした。良い経験になり、楽しかったです」と話した。

「陽だまりの朝食」の主演・坂さんは、メインキャラクターを務めた喜びとともに「おばあちゃんっ子のシャオミンですが、僕もそうなので、終盤のシーンの時、かなり大きな声で泣いてしまいました」とエピソードを語った。また、「上海恋」主演の大塚さんは「リモは真っ直ぐで、年頃の揺れ動く気持ちを大切に演じました」と話しつつ、「陽だまりの朝食」のキーとなるビーフンを坂さんと一緒に二人で食べに行ったことを明かした。

 そして、舞台挨拶の最後には、ビッケブランカさんが主題歌「WALK」を弾き語りで披露。

「初めに<衣食住>がテーマだと伺って、映像を拝見して曲作りをしました。リ監督から『実は、衣食住だけではなく行(交通)があるんだよ』と教えて貰ったんです。行は動くことを司っているので、「WALK」に繋がっているなと思いました」と話した。

 これから大きく花開いていくであろう、日本と中国の国境を越えた才能のコラボレーションの出発点となる本作『詩季織々』を、ぜひ劇場で体験してほしい。

「陽だまりの朝食」(監督/イシャオシン)北京で働くシャオミンは、子ども時代を過ごした湖南省を思い出す。祖母、近所の人々、学校の憧れの先輩……朝食のビーフンをめぐる思い出をあたたかく描く。

「小さなファッションショー」(監督/竹内良貴)広州の姉妹、イリンとルルは両親を亡くし、助け合いながら生きてきた。だが人気モデルであるイリンは公私の行き詰まりからルルに八つ当たりしてしまい……。

「上海恋」(監督/リ・ハオリン)1990年代の上海、石庫門に住むリモは幼なじみのシャオユのことを思いながらも、すれ違ったまま引っ越すことに。『秒速5センチメートル』への熱いオマージュ作。

『詩季織々』
テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかにて公開中
https://shikioriori.jp/
配給:東京テアトル
©「詩季織々」フィルムパートナーズ 
監督:イシャオシン、竹内良貴、リ・ハオリン
キャスト:坂泰斗、伊瀬茉莉也、寿美菜子、白石晴香、安元洋貴、大塚剛央、長谷川育美