同じお題でも全く違う作品になる! monogatary.comのコンテスト「モノコン2018」に挑戦してみよう!

文芸・カルチャー

更新日:2018/8/21

 物語を「書く」「読む」「描く」「交流する」といった多彩な角度で楽しめるプラットフォーム、「monogatary.com(モノガタリードットコム)」が今話題だ。このサイトでは、毎日出される「お題」に対し自由に「物語」を投稿でき、それに対してストーリーに合うイラストやコメントも投稿することができる。同じお題から作られた作品でも発想次第でまったく別の作品になる。発想は無限大。さまざまなアイデアが展開される、このサイトの物語をみてみるとしよう。

【お題】「それ、それずーっと言って欲しかったの」

ちなみにこのお題は、monogatary.comの公式youtube番組「チャンモノ」にて、パーソナリティを務める声優の徳井青空さんから出題されたもの。番組ではこのお題に集まった物語を徳井さんがどんどん朗読していくコーナーもあるので、そちらもチェックしてほしい。

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 たとえば、「それ、それずーっと言って欲しかったの」というお題では、多種多様な物語が投稿されている。フジムラ氏の『龍善院桜子は言わせたい』では、大阪の高校からミッション系の女学校へと転校してきた主人公・来栖雷花が、同級生の龍善院桜子と交流していく学園もの。いかにもお嬢様という感じの桜子さんのイメージがクライマックスにかけてガラリと変わり、一気に2人の距離が縮まるのが微笑ましく、ずっと2人の掛け合いをみていたいような気にさせられる物語だ。

 一方で、水上下波氏の『海龍は水底に幸福な夢を見る』もクライマックスにかけた展開に惹き込まれる作品。暗い海の底で暮らす海龍のもとに現れた人魚姫。異形の姿を誰にも愛されなかった海龍は、自身にあたたかく接してくれる人魚姫に心癒やされていく。だが、次第に別れの時が近づいてきて…。大人のための童話という感じ。後を引くような、考えさせられるような、切ない物語だ。

 よんちょうめ氏の『魔人のねがいごと』も童話のような展開でありながらも、クライマックスが面白い。骨董店で見つけたランプのほこりをはらうと、目の前に現れたのは、女の子。なんでも願いごとを叶えてくれるという彼女に主人公はどんな願いごとを叶えてもらうのか。あなたもその展開に「その発想はなかった」と思わされるに違いない。

【お題】「ある文豪とゴーストライター」

「ある文豪とゴーストライター」というお題では、どの作品でも、文豪とゴーストライターを登場させながらも、それぞれのユーザーがまったく展開の違う物語を作り上げている。たとえば、Ren氏の『電気作家と電脳読者』は、最後の数行に思わずゾクッとさせられるSF要素のようなホラー要素のある物語。ゴーストライターを利用して名を上げ続け、ついには数多のゴーストライターを抱えて一つのスタジオにしてしまった文豪。彼が特に気に入っている有能なゴーストライターの青年作家に速筆の理由を尋ねると、実は彼もゴーストライターを使っていて…。ゴーストライターにゴーストライターがいるという発想も素晴らしいが、誰もが最後の展開に度肝を抜かれることだろう。

 夢猫氏の『煙の中に消えた男』では、メディアに露出することが苦手で、編集者でさえもその顔を見たことがない人気作家と新人担当を描く。「原稿を書いている時は絶対に邪魔をしないでほしい」という彼の姿をみたくなり、こっそりと、人気作家の様子をうかがった新人担当。最終章まで目が離せない手に汗握る物語だ。

 また、山羊文学氏の『A』も面白い。小説家の頭の中に現れた不思議な存在「A」。それは、自分が思いもよらなかったアイデアを次々と出してくれ、小説家を助けてくれる存在。まさに「ゴースト」ライター。その存在が引き起こす事件とは。その展開に思わず背筋が凍る思いがする。

 学園もの、ラブストーリー、エンターテインメント、ミステリー、SF、ホラー…。アイデア次第でこんなにも多様な物語が展開できるのか。「monogatary.com」に投稿された作品はどれもとても面白い。さらに、「monogatary.com」では、現在、「モノコン2018」を開催中。お題に対して物語を投稿する「物語部門」、物語に対して表紙を投稿する「表紙部門」、コンテストエントリー作品を読んで人にオススメするだけで参加できる「オススメシ部門」の三部門が用意され、いずれもmonogatary.comサイト上より簡単に参加できる。「物語部門」「表紙部門」の優秀作品は、書籍化、コミカライズ、映像化、キャラクターグッズ化等「その作品の魅力をもっとも表す方法でサイト外展開」することを確約し、「オススメシ賞」に選出されたユーザーには総額50万円の賞金が授与されるという。

 毎週追加される多彩なお題。monogatary.comの運営スタッフのほか、ソニーミュージックグループ各社のスタッフによってリアルタイムで実施されるという予選審査。「モノコン2018」は、monogatary.comだからこそできる今までにない新しい形のコンテストといえるだろう。これからどんな作品が投稿されるのか。優秀作品はどんな形で公開されていくのか。ますますこのサイトから目が離せなくなりそうだ。自分の考えた物語が書籍化されたり、映像化されたり、漫画化されたり、アニメ化されたり…。そんなことを一度でも夢見たことがある人はぜひとも公式サイトをチェック! 現在、「創作最前線 vol.1 〜イラスト/デザイン編〜」という、人気イラストレーター・デザイナーによるプロとして求められるスキル、自身の創作の過程までを披露し、参加者の作品に直接アドバイスをくれるコーナーもあるイベントも募集している。あなたのとびきりのアイデアで今までにない作品を投稿してみたり、イラストレーターを目指している方は、イベントに参加してみよう。

文=アサトーミナミ