侍女を天職として生きるヒロインが、いよいよ恋愛にも目覚める……か?『転生しまして、現在は侍女でございます。 2』

文芸・カルチャー

2018/8/24

『転生しまして、現在は侍女でございます。 2』(著:玉響なつめ、イラスト:仁藤あかね /フロンティアワークス)

 異世界や魔法世界を舞台に、恋や冒険、立身出世など己の道を突き進むヒロインたちを描く人気レーベル「アリアンローズ」。8月の新刊は、メガネっ娘侍女が主人公の『転生しまして、現在は侍女でございます。』の第2巻だ。今夏「プロジェクト テレジューク」による舞台化とドラマ化に続いて、コミカライズも決定している人気作品だ。

 乙女ゲームの開始前の世界に転生した元ОLのユリアは、ゲームでは悪役令嬢となるはずの王女プリメラに侍女として仕える。「こんなに可愛いプリメラさまを悪役にはさせない!」と決意し、精魂をかたむけてプリメラを才色兼備な少女に指導。ユリア自身も有能な侍女へと成長していく。

 ……というのが前作の内容だ。今作では、後輩侍女の育成と、ユリアの恋愛面に焦点を当てて物語が展開する。

 プリメラの腹心の侍女として、王女宮筆頭侍女という揺るぎない地位を確立したユリア。そんな彼女に、王城内の「問題児」の異名をもつ侍女スカーレットの再教育という任務が下される。折りしも時は王宮内の一大イベント、園遊会の準備に大わらわの真っ最中。しかも、そこはかとなく意識しあっていた近衛騎士アルダールが、本格的にアプローチを仕かけてきて――。

 スカーレットの育成と園遊会の準備、アルダールとの恋模様が同時進行で展開していく。

 前作からさらに成長したユリアは、主人プリメラに仕えるだけでなく、自分の部下をどう教え、導いたらいいのかという新たな課題に真摯に向きあう。

 至らないからといって叱るだけではいけない。どんなダメな子にも長所は必ず隠れている。そこをちゃんと見つけてあげて、褒めることによって伸ばす。スカーレットの教育を通して、ユリア自身も上司である自分の責任となすべきことを新たな目で見つめ直していく。異世界が舞台ではあるけれど、現代社会で生きる私たちにとっても共感するところは大だろう。

 一方で、恋愛偏差値の方は依然として低く、恋心を自覚して攻めはじめてきたアルダールに、どう向きあえばいいのか分からない。

 二十一歳にして初めて覚えた胸の高鳴りに、じれじれもだもだする様子がなんとも微笑ましくもじれったい。自分の容姿や年齢に関するコンプレックス、高スペックなアルダールへの引け目などに悩みながらも、“恋愛”という名の未知のゲームに踏み出していく心の動きを作者は丁寧に綴っている。

 ゲーム、ファンタジー、お仕事要素に加えて恋愛面もいよいよ充実していこうとする中、風雲急を告げる展開で次巻に続いている構成も鮮やか。侍女という天職に巡り会ったヒロインが、仕事を軸に自分の世界を広げてゆき、女性として人間として魅力的になっていく姿をぜひ見守ってみてほしい。

文:皆川ちか