ちょっとヘンな“類トモ”たちによって日常が笑いに変わる? 注目度No.1のコメディ漫画『類はトモを呼ぶ』

マンガ

更新日:2018/8/27

『類はトモを呼ぶ』(Marita/講談社)

「じわる」とは、「じわじわと来る」の略だが、『類はトモを呼ぶ』(Marita/講談社)は、まさしく「じわる」という言葉がふさわしいコメディ漫画ではないだろうか。じわじわと「何が」来るのかと言うと……はっきり言い表すことが難しい。「笑い」だったり「ツボ」だったり、とにかく「なんか好き」という感情が「じわる」のだ。

「次にくるマンガ大賞 2018」(web部門)、「WEB総選挙 2018」にWノミネートされた本作。

 ある雪の積もった冬の日、若者二人がしゃがみこんで何かしているのを、バスから見かけた須々岐(すずき)。思わず降車して、その場所に行ってみると、若者はいない。だが、そこには作りかけの雪だるまが二つ。須々岐はその雪だるまに顔を作って、その場を去る。

advertisement

 後日、雪だるまを作っていた若者の一人、田原(たはら)がやって来て「俺の作った雪だるまに、なんか顔がついてる!!」と大興奮。はしゃいでいる時に、須々岐が現れ、(いろいろあって)就活中だった田原は、須々岐の勤めているアパレルショップでバイトをすることに。

(C)Marita/講談社

(C)Marita/講談社

 小学生が友達になるようなきっかけで友人になった二人。彼らが出会ったことから、無表情イケメンの須々岐と、いつも顔に傷を作っているおっちょこちょいで元気な田原のもとに、個性豊かな「類トモ」たちが集まり、「じわる」日常を繰り広げていくのである。

 類トモのヤクモリは田原の友人で、雪だるまを作っていた若者の一人だ。クールで一見常識人な彼も、どこかヘン。須々岐の友人の保育士、一二三(ひふみ)や、田原の妹「つばな」や、ニートの兄やら、すごくヘンなわけではなく、ちょっと変わってる登場人物がたくさん登場する。

(C)Marita/講談社

「もしかしたら、自分の周りにも実はこんな人たちいるのかも?」と読者に思わせてくれる絶妙な「ヘン加減」が、キャラクターたちを更に魅力的にしているのかもしれない。

 そんな類トモたちは、仲良しだったり、片想いしていたり、ブラコンだったり、落ち込んだり、実は重たい過去を背負っていたり。そういう、それぞれの関係や「ちょっとした陰の感情」、生い立ちがあった上で描かれる日常の何気ないコメディが「じわる」一因なのではないだろうか。

(C)Marita/講談社

 個人的には、ヤクモリと三次元限定の腐女子で、須々岐とヒフミの関係に萌えている葵(あおい)が、実は交際歴9年という超長い付き合いのカップルだったという、その関係がとても「じわった」。なんか、いい。

 本作が「『この世界に入りたい』という声が続出」しているというのも、うなずける。確かに、こんなトモダチがいたら、平凡な日常がとっても面白くなるかも。笑えて共感できて、ちょっとしんみりできる、「じわる」コメディ漫画だった。

文=雨野裾