SNS、職場、友達…他人の言葉が気になって、心が疲れた時の解決法

暮らし

更新日:2018/8/27

『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(著:Jam、監修:名越康文/サンクチュアリ出版)

 現代人の人間関係は非常にめんどうな場面が多い。しかも、厄介なことに「無神経な振る舞いで他人を傷つける人」ほど、楽しそうに見えるものだ。その結果、真面目な人ほど「損をしている」と感じるようになり、ますますストレスはふくらんでいく。ブラック企業やSNSトラブルなどの社会問題も、こうした悩みに拍車をかけているといえる。

 ゲームグラフィックデザイナーでイラストレーターのJamさんがTwitterに投稿したマンガ「パフェねこシリーズ」が話題になっている。かわいいキャラクターがシンプルながらグサッと心に刺さる言葉を投げかけてくる内容が、ネットユーザーを惹きつけたのだろう。Jamさんのマンガを、精神科医・名越康文さんの監修のもと、書籍にしたのが『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)である。他人の言葉が気になって心が疲れた人こそ、手にとってみてほしい。

 それにしても、インパクト抜群のタイトルにはどのような意味があるのだろう? きっかけは、Jamさんの実体験にさかのぼる。Jamさんは人間関係で嫌なことがあり、モヤモヤを引きずる時期があったという。考えるだけ無駄だとはわかっていても、どうしても相手の行動を思い出さずにはいられない…。そんなJamさんに友人がかけた一言がタイトルのフレーズだったのだ。自分が苦手な相手が、同じように自分を意識しているわけではない。真剣になるのは大事なもののためだけでいい。そう考えてみると、Jamさんは心がスッとしたという。

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 このように、本書はJamさんが思ったこと、知人からかけてもらったセリフを四コママンガの形式で紹介していく。たとえば、人といるときにもSNSを見るのをやめられない友人には…。

「なんか…透明人間みたいだね」
「そばにいない人もそばにいるように感じるから?」
「目の前にいるのに見えてないから」

 思いがけず核心を突かれて、反省してしまった人もいるのではないだろうか。また、LINEでありがちな「既読スルー」に対するイライラも「自分と同じことが全部できるわけじゃないよ」と諭す。確かに、自分にとっては即返信が当たり前でも、他人が同じ価値観を持っているとは限らない。SNSでは相手の姿が見えないからこそ、使っているのが人間だと忘れてしまう。自分の事情だけでなく、相手の事情を思いやれる人間でありたいと反省させられた。

 そして、人間関係では「マイナスな感情」を抱いてしまい、「自分は悪い人間なのか」と自己嫌悪におちいるケースも多い。しかし、「ガマンしなくていい」と読者に語りかけてくる。

「人がいないのそいつのせいじゃん。ちゃんとした人なら誰も離れないよ。最後の1人に…なっちゃダメだよ」

「『あなたの為に』がストンと心に落ちない時は…心に響かない理由があるんじゃないかな…?」

 ブラック企業などは典型的だが、一方的な理屈を押しつけられてしまいそうなときは、「自分にとっての相手の価値」を思い返してみよう。特に尊敬もしていない相手とぶつかって嫌われたとして、この先の人生で困ることは少ないはずだ。

 Jamさんは会社員時代につらい思いをしたり、独立後もさまざまな不安と戦ったりしてきた。いわば、悩みが尽きない人生だったのだ。しかし、散々悩んだ末に導き出した結論が「考え方一つで…悩みを消せるかも?」というものだ。他人を思うようにコントロールすることなどできないし、会社や社会もすぐには変わらない。ならば、自分の考え方を変えればいい。相手ありきで行動するのではなく、まずは一番自分が「楽」に思える道を探そうと、パフェねこは教えてくれる。

文=石塚就一