AV女優&風俗嬢たちの告白がヤバイ⁉ AV強要問題や学生風俗嬢の危なさと現実とは⁉

社会

2018/8/26

『AV女優19人の告白 ハタチになったら死のうと思ってた』(中村淳彦/ミリオン出版)

 巻頭のグラビアページを眺める。私服姿でさりげなく笑顔を見せる彼女たちは、ごく普通の学生やOLさんにしか見えない。しかしその後に続く、壮絶な生い立ちを読むと、「え、この笑顔の裏に、そんな過去が?」と、グラビアページをめくり直し、その顔をもう一度凝視する。

『AV女優19人の告白 ハタチになったら死のうと思ってた』(中村淳彦/ミリオン出版)を読みながら筆者は、幾度となくそんな行為を繰り返した。人の外面からその内に抱える葛藤や傷ついた経験など、知ることはできないものだと改めて痛感する。

 本書は、雑誌『実話ナックルズ』の人気連載コーナーの書籍化で、有名無名、志願中を含む、19人のAV女優が登場し、その半生などを回想する。

 他にも、他の性風俗に従事する女子大生などへのインタビュー、AV事件簿を含む性風俗業界が抱える諸問題(強制出演、本番行為の違法問題)、出演ギャラなどの業界事情などにも触れながら、性風俗に生きる女性のリアルを通して、日本社会の知られざる一角にスポットを当てていく。

「AV女優や風俗嬢になるのは本人の勝手な選択。社会と関係あるの?」と思う人もいるだろう。しかし本書を読むと、家庭や学校での体験などが、その道に入るきっかけとなる女性は多く、周辺社会を要因として無視することはできないのではないだろうか。本書に登場する女性たちの例を紹介しよう。

■母子家庭、生活保護、ネグレクト、貧困、性的いたずら、いじめなどがキーワード

 家庭や学校環境では、母子家庭、生活保護、ネグレクト、貧困、奨学金返済、性的いたずら、いじめなどのキーワードを背景に持つ女性が多い。

 新條希さん(22)の場合は、親類縁者がいない母子家庭なのに、頼るべき母親が恐るべきモンスターだった。その詳細は本書に委ねるが、19歳で家出するより生きる道がなかった。飢餓感から自殺を考え始めた時、住み込みで働ける風俗産業に救われる。ほとんど処女のままAVの道を選んだ。

 こうした際、公的機関に救済を求めるのが常識だ。しかし、親元に戻される可能性もあり、「母親の顔を再び見るくらいなら、自殺の方がまし」と思うほどに追い詰められていた。

 本書には他にも貧困層出身の人たちが数名登場する。中には役所職員が生活保護手当を支給する際に、「毎回、あまりの罵詈雑言を母に浴びせるため、それが苦痛で母親が受給を断った」結果として、性風俗で働くことになったケースもあるという。

 また、将来の夢と奨学金を抱えて自力で大学に進むも、授業料の支払いと家庭への仕送りなどのため、風俗の門をたたくしかなかった女性もいる。

 ちなみに本書によれば、女子大生風俗嬢は現在、かなり多いという。貧困層は家庭への仕送りや借金返済のためだが、富裕層の場合は、「高校までは家の監視下にいたから、弾けたかった」「客に指名されることで承認欲求が満たされる」という女性が多いようだ。

 いずれの場合にせよ、高額を手にするため金銭感覚が狂い、就職後にすぐ退職して風俗に戻る人たちが多いそうだ。

 また、学校体験がきっかけで性風俗を選ぶ女性もいる。小西まりえさん(不詳)は、「小4の時に1年間、日常的に担任教師から性行為をされた」ことがきっかけで性に目覚めた。涼海みささん(20)は、「高校の時、セフレ兼援助交際の相手が隣町の市長だった。未成年が大好きでお金もたくさんくれた」と明かす。著者が確認したところ、「今も現職市長(2017年現在)であり、プロフ欄には子どもたちと一緒にスポーツしている写真があった」という。恐ろしい話である。

 他にも学校でのいじめ体験から自己肯定感や自己評価が低くなってしまい、風俗で男性から褒められるのが快感になった女性など、いじめが背景にある風俗女性も多いようだ。

■「出演強要」などAV業界の闇にも鋭く切り込む

 本書は決して、AVや風俗産業を貧困女子の助け舟として、美化するのが目的ではない。中にはそれで命を繋ぐ女性がいる一方で、風俗業界の恐ろしさにもしっかりと触れている。

 昨今話題になった「AV強要問題」においては、告発した元AV女優とその元マネージャーにもインタビューを行い、どのような手口だったのかが明かされている。

 スカウトされた女性は歌手志望だった。「必ず歌手デビューさせますと、半年間も本格的なボイストレーニングが行われていた」そうだ。そんなある日、こわもての男たちに囲まれ、AV出演を迫られるのだ。その悪徳プロダクション元社員は「いうことを聞かなければ、家族を脅す、もしくは最悪レイプされその様子を動画に撮影される」と証言する。

 こうした事件が表沙汰になったにもかかわらず、AV女優のタレント化などで、志願者は増えているそうだ。しかし、AV業界は現在、ネット動画の存在もあり不況のどん底だ。トップランク女優でも、1カ月の収入20万前後が相場といった現実も本書は明かし、「リスクは大き過ぎるうえ、決して稼げる業界ではない」と著者は警告する。

 他にも、アイドル転身組、起業の夢を語る人、貧困からAVデビューしたが、もっと貧困になった人、50歳オーバーのケースなど、色とりどりである。AVメーカーに新卒入社した女性社員への取材では、会社のブラック度を明かしているので、気になる方は参考にしてほしい。

 最終的にその道を選ぶのは、たしかに本人の選択だ。しかし、社会という周辺環境が大きく関わっているケースもあり、本人だけにリスクや責任を負わせて終わり、という単純な世界でもないようだ。多くのことを考えさせられる1冊である。

文=ソラアキラ