国語辞典に「ら行」が少ないのはなぜ? 子どもの「なんで?」「どうして?」に答えてくれる「教養系雑学」

出産・子育て

公開日:2018/8/29

『頭のいい子が育つ! 子どもに話したい雑学』(多湖 輝:監修/KADOKAWA)

 子どもの頃を思い出してみて欲しい。見るもの聴くもの触るものすべてが新鮮で、「なんで?」「どうして?」という、あらゆる世界の事象に対する疑問が枯れることなく湧き続けていた。散歩に行っても、図鑑を眺めても、あくなき探究心で「なんで? なんで?」。そうやって周りの大人たちを閉口させてきた。それは健全な成長の証だ。

 大人になった今、愛する子の探究心にはできる限り応えてあげたい。そして、知的好奇心の種をたくさん授けてやりたい。そう考えるのも、幼少期の経験を持っていれば自然なことだろう。

『頭のいい子が育つ! 子どもに話したい雑学』(多湖 輝:監修/KADOKAWA)は、子を持つ親たち、そして孫の成長を見守るおじいちゃんやおばあちゃんにも役立つ「教養系雑学」を434話収録した書籍だ。それぞれの知識はわかりやすく教科別に分類されており、気軽に読み進めていくうちに“子どもの思考を刺激する知識”が身につく仕様だ。

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 本書に収録されている子や孫との会話の“隠しネタ”として役立つおもしろい雑学の一部を、本稿ではご紹介したい。

■国語辞典の「ら行」が薄いワケ

 国語辞典の後半のボリュームが薄いことに疑問を抱いたことはないだろうか。ともに3文字の「や行」「わ行」が少ないのはまだ納得がいくが、5文字である「ら行」の語彙もかなり少ない。

 それは「和語」「大和言葉」などと呼ばれる日本語本来の語彙に起因するのだとか。もともと日本の言葉に「ら行」で始まる言葉は存在せず、現在の「ら行」から始まる語彙の多くは中国から取り入れた漢語、あるいはヨーロッパから取り入れた外来語由来のものだという。

 リンゴ(林檎)、ロウソク(蝋燭)、ラッキョウ(辣韭)などは、奈良時代以降に中国の言葉を学んでいった結果なのだそうだ。しりとりで「ら行攻め」を覚えて味をしめた頃の子どもに喜ばれる豆知識だ。

■サラブレッド1頭は何馬力? 人間の馬力は?

 車のエンジンの性能をあらわすときに使われる「馬力」という単位。これを採用したのは、蒸気機関を改良したことで有名なイギリスのジェームズ・ワット。馬に荷馬車を引かせて、550ポンド(約250キログラム)の重量を1秒間に1フィート(約30センチメートル)動かす際の仕事率(単位時間当たりの仕事量)を「1馬力と定めた」ものだ。

 キログラムとメートルを基準とする日本では、上の「英馬力」の単位を換算した「仏馬力」を採用しているのだという。

 もともと1馬力は馬1頭の仕事量だったが、現在のサラブレッドなどは能力が進化しているため、3馬力以上もあるのだそうだ。人間はというと、平均して0.3馬力程度の力なのだとか。

 これに基づけば、競馬のお馬さんたちは我々の10倍以上のパワーを誇るということになる。確かにこれは、オトナの嗜みを知る私には納得だ。競馬の世界を知らない純粋無垢なお子さんにも、大好きなクルマの豆知識として紹介できそうだ。

 本書には他にも、「“虹”という漢字はなぜ虫へんなのか?」「“銀行”はなぜ“金行”と言わないのか」「モーツァルトが作ったお下品ソング『おれの尻をなめろ』」「車の速度計が法定速度以上にある理由」など、私たちが普段見落としがちな「疑問」とその答えが詰まっており、おもしろい。

 子どもの視点は鋭く、斬新だ。とはよく言われるが、これは分別がないからではないだろうか。人間は優秀な頭脳を持つといえども、それでも無限には稼働させられない。特に現代人は、とめどない情報の渦の中を生きている。大人になって分別を身につけるということは、吸収する情報の取捨選択が合理的になっていくということだ。

 しかし、些細なことに疑問を抱きそれを追求していく姿勢は人生を豊かにしてくれる。知的探求心は何歳になったとて大切にしたいものだ。本書の知識には、大人の私たちもあっと驚かせられるものばかり。そうやって身につけた雑学と探究の姿勢を、ぜひ子どもとも自然な形で共有していきたい。

文=K(稲)