ドス黒いパフが運気の分かれ目! 日常生活で「運気の代謝」を上げるには?

暮らし

更新日:2018/8/30

『龍がすむ赤寺の教え「運気の代謝」があがる! 日常作法のコツ』(松尾法道/文藝春秋)

 人気のパワースポットを巡ってもイマイチ運気が上がらない、それどころか幸せは遠くなるばかり。運気を上げるには、どうしたらいいものか……そんな物思いに耽る秋の読書にぴったりなのが、『龍がすむ赤寺の教え「運気の代謝」があがる! 日常作法のコツ』(松尾法道/文藝春秋)だ。

 著者は、九州・長崎にある興福寺第32代住職。しかも興福寺は、いんげん豆などを日本にもたらした隠元禅師ゆかりの寺。そう聞くと、難しい説法ばかりがズラリと並ぶイメージだが、本書は温かみのある言葉が並ぶ“ほっこり系説法”のオンパレード。安心して読み進めることができる。

 何千人という老若男女の相談と向き合ってきた著者。さまざまな人生相談を受けてわかったことは、運気に恵まれている人は土台になる「素」への意識が高いこと。また日常生活をおろそかにしたままでは、いくら運気アップを願ってもムダ。つまりパワースポットを巡って運気をアップしようと企んでいても、ケガレを払ってからでないと運気が定着しにくいという。

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「じゃあ、私の運気はずっと上がらないの?」と、落胆する人もいるかもしれないが、安心してほしい。幸運は私たちの日常生活から、無理なく引き寄せることができるという。もちろん本書には、すぐに実践できる作法がワンサカあるのが特徴だ。

■朝一番にすると運気が上がることって?

 例えば、運気が悪いと悩むキャリア女性からの相談事例。化粧ポーチに潜むどす黒いカチカチのパフを見て、著者は「素が、ダメだからよぉ~~」と一喝。このように日常生活をおろそかにしないためにも、第1章では「運気の良い巡りをキープする〉〉習慣・心持ち」として、暮らしのリズムを整えることを提案。朝一番に窓を開けて室内の空気を入れ替えることで「キレイな気」を身につけることや、日常食として米のごはんと味噌汁のような「あたり前のごはん」を食べること、さらには忙しい時ほど丁寧にお茶を淹れることなど、これらを習慣化することを勧めている。

「いやいや、そんな悠長なことをやる暇はない!」と今すぐ運気を変えたい人は、第2章「運気の不調をリセットする〉〉浄化・心の整え方」がおすすめだ。

 不調な時は、次の新しいことへ進むための充電期間だからこそ「まずは目の前のことを精一杯やる。いつものことを、少しだけいつもより丁寧にする。それで、自分にやさしくしてあげて、からだと心を整える。それで万事オッケー」だという。

 この他にも、日常のストレスを浄化する呼吸法や、SNSとの付き合い方に、興福寺オリジナルの開運スープの作り方、さらには「運気を整えるおはらい暦」には、季節の行事の由来や向き合い方などもある。季節に咲く野の花や野菜の写真などもそっと添えられている本書は、まるでヒーリングブックのよう。読み進めるうちにイライラしていた気持ちもクールダウンし、いつの間にか心の緊張も解きほぐれるにちがいない。

 結局は、毎日の暮らし方がすべての運気を決めるのかもしれないが、「龍がすむ寺」として様々な運気を引き寄せてきた住職である著者の結論だからこそ、その意味は大きい。まずは、化粧ポーチの中にあるパフを洗うことからはじめてみるのも良さそうだ。

文=富田チヤコ