『50歳の衝撃』――減る選択肢と、人生を左右する衝撃的な経験。正解なんてある?

ビジネス

2018/9/1

『50歳の衝撃 はたらく僕らの生き方が問われるとき』(山本直人/日経BP社)

 50歳の衝撃。何ていいタイトルなんだろう。そう思ってしまったのは、自分があと数年で50歳だからだろうか。いやいや、20歳の衝撃じゃ青臭いし、30歳の衝撃では不倫とか何か色事的な匂いがする。40歳の衝撃……と来ると、何か人生に取り返しのつかない事態でも起こったかと悲劇が想像される。しかし「50歳の衝撃」である。とりあえず何とか50歳まで色々乗り越えて働いてきた人間に突如として起こる衝撃とは何か。定年も見えてきたし、もう消化試合でいいじゃないかと思っている人も多い世代の衝撃とは?

 しかも、本書は実話に基づいているというから、読まずにはいられない。50歳を前にして、これから先どうするかの具体的な体験を知りたいのだ。20代30代ならマニュアルが欲しいかもしれない。40代なら助言を求めたかもしれない。でも50歳前後ともなれば、マニュアルや助言やロールモデルではなく、実際の体験に裏打ちされた同世代の人間の肉声を聞いて、自分なりに考えてみたいのだ。そんな思いに駆られてページをめくった。

「働き方改革」と言われても、いきなり自分基準に変われない人、「休まない上司」がマイナス評価になったのを機に部下を育てた人、ベンチャー企業での出世が早くて燃え尽きてしまった人、同調圧力に負けた人……色々な実例をもとに、新天地でいかに自分を緩めるか、肥大したプライドを畳むか、承認欲求を引っ込めるか……など、50歳の葛藤に折り合いをつける道をサジェストしてくれる。

 自分の場合、ずっとフリーで仕事をしてきたため、組織の中での処世術やキャリア形成なるものが全く分からず、そういう点でも本書はとても勉強になった。ずっと会社員生活を送っている人には当たり前のことばかりなのかもしれないが、ほんの数年前、縁あって組織人となった自分には、50歳を目前にして会社で働くとは、日々どんな思いを抱くものなのかという点について、自分の感じていた葛藤や不満、疑問なども本書で随分と明らかにしてもらったように思う。

 働き出してからのキャリアの三分の二をフリーで過ごした人間からすると、フリーの人間の大半は常に「ぼんやりとした将来への不安」に晒されていると思うのだが、一方で組織に所属して働く人間は「逃げ場のない閉塞感」を感じているのではないだろうか。今の自分は、フリー時代にずっと悩まされていた「ぼんやりとした将来への不安」からは解放された代わりに、「逃げ場のない閉塞感」あるいは「密室での頭打ち感」を覚えることが多いのだが、本書を読んで、その感情も50歳を目前とした組織人ならばままあることだと分かった。自分にとっての50歳の衝撃はまだ訪れていない……と思う。もしかしたら数年前の転職がそうだったのかもしれないが、まだまだ衝撃はありそうな気がしている。そうなった時、もう一度、本書をめくって自分の生き方を考えてみたい。

文=ガンガーラ田津美