うれしくなって、やる気が出る、効果抜群の「ほめ言葉」とは?

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公開日:2018/9/2

『ほめ言葉の力 叱っても人は動かない』(和田秀樹/新講社)

 ほめられるとうれしい。お世辞だろうと思っても、その気遣いがうれしい。人をやる気にさせ、能力を引き出し、人間関係を良くする「ほめ言葉の力」に、あらためて向き合ってみる1冊が、『ほめ言葉の力 叱っても人は動かない』(和田秀樹/新講社)。著者の和田秀樹氏は精神科医であり、多数の人気著書を持つことで知られている。

 ほめることが照れくさい、どうほめていいかわからない、と「ほめる」ことが苦手という人は意外と多い。中には、人をほめても何の得にもならないと思っている人もいるという。しかし、ほめることは「こだまのように自分にかえってくるもの」だと著者は述べる。「ほめられると、自己愛が満たされ自分の居場所ができ、自分の長所や価値に気づく。すると朗らかで素直な気持ちで人と向き合うことができるようになり、あなたがほめたように、あなたをほめてくれるようになる」という。よい人間関係が循環するのだ。

 ほめ方は難しく考えなくてよい。むしろ短くシンプルな方が響くのだそう。「ありがとう」「助かった」「いいね」「ちゃんとしてる」「羨ましいなあ」など。一番短くて効果の大きいほめ言葉はズバリ、「いい!」、英語だと「ナイス」。こうした言葉は一瞬で気持ちのいい空気を生むという。タイミングを逃さず、すかさず言いたい。

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 人間関係が柔らかくなる最上のほめ言葉は、「やさしいんですね」だそう。ありのままの自分、何気ない行動をほめてもらうのは、とてもうれしいものだ。筆者にも経験がある。会話の中で何気なく、「あなたはやさしいから」と言ってくれる友人がいるのだが、そう言われると、本当に自分が「やさしい人」の気がしてくるし、また彼女と会いたい、話したいと思うのだ。

 本書では、「謙虚にほめる」言葉として、「教えてください」「お願いします」「勉強になりました」などを挙げている。ほめることはもともと「人を立てる」こと。「課長のおかげです」と言えば、「いや頑張ったのは君なんだから」という言葉が返ってくる。お互いに相手を立てることでうれしさを分かち合うのだ。ワールドカップでサッカー選手が、「おかげさまで」「みんなのおかげ」という言葉を述べていたが、感謝の言葉を忘れないチームはスポーツでもビジネスでも強いのだ。

 著者は、何かに挑戦する気持ちになったとき、「うまくいくかね」という言葉くらいがっかりさせられる言葉はないと述べる。つい心配のあまりネガティブな言葉をかけてしまうことがあるが、けなすよりほめることで、相手はやる気がでるのだ。人をほめることは人の心をほぐしてあげること。「君ならできる」「任せるよ」「頼りにしてるよ」というような、「やる気を生む言葉」をかけられるようでありたい。行動したら、「よくやったね」とほめるのを忘れないことも大切だ。

 人間関係を良好にしたい、チームの業績を上げたいという方、今すぐにできて効果的な「ほめ言葉の力」を、ぜひ活用してほしい。

文=泉ゆりこ