整形で今妻を元妻の顔に変えてほしい…  美容整形の恐怖現場

文芸・カルチャー

更新日:2018/9/12

『リアルフェイス』(知念実希人/実業之日本社)

 顔や体を変えることに何の問題があるのだろう。美容整形は、人の見た目を美しく変えるだけのものではない。美容整形は、患者の心を救うものであり、患者に新しい生活を与えるもの。メスによって患者の明るい未来を切り開くものだ。何かと批判されがちな美容整形の現場を描いたミステリー作品がある。それは、知念実希人氏の『リアルフェイス』(実業之日本社)。天才美容外科医の周囲で巻き起こる事件を描き出した医療ミステリーだ。金さえ積めばどんな手術でも引き受ける天才外科医と、そんな彼の姿に疑問を覚える麻酔科医。個性的な患者たちと、不可解な事件。物語がどう展開するのかは予測不能。一気読み必至の新感覚ミステリーがここにある。

 主人公は、麻酔科医・朝霧明日香。彼女は、恩師の紹介で、天才美容外科医・柊貴之のクリニックで働くことになる。彼のもとを訪れる患者は一風変わった人間ばかり。いまの妻の顔を亡き元妻の顔に変えてほしいという巨大企業会長。2億円もの金を横領した息子の顔を整形で別人にしてほしいというヤクザの組長。7回も美容形成手術を受けているというのに、もっと美しい顔にしてほしいという女優…。どれほど倫理的に問題がある手術でさえ、金さえ積めば引き受ける柊の姿に反発を覚える朝霧だが、次第に、柊の行う手技の鮮やかさに惹き込まれていく。だが、柊のもとで働くのにも慣れてきたある日、彼女に1人のジャーナリストが声をかけてくる。なんでも、柊は、4年前に起きた整形美女連続殺人事件に関係しているようで…。柊の過去に何があったのか。物語はおもわぬ方向へ進んでいく。

 驚きの展開から目が離せないこの医療ミステリーを読書メーターユーザーはどう読んだのだろうか。

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ミステリーあり、大どんでん返しあり、感動あり、涙あり、すべてが私の好みど真ん中で、本当に本当に面白かった! かじりつくように読んでしまいました。一般的にあまりよいイメージのない整形手術だけれど、どの手術の後にも感動のラストを持ってくるのはさすが知念さんだなぁ。いい意味で裏切られました。帯の「あなたは絶対に騙される」という言葉に惹かれて買ったものの、色々予想する中で当たったら嫌だななんて思っていたけれど、ラスト気持ちいいくらいに立て続けに騙されました。面白くて、怖くて、泣いて、驚いて、最初から最後まで気がぬけない本でした。楽しかった!!(歌奈

知念さんの本はどれも疾走感があって一気読みしてしまいがちだが、今回も思わず作品に引き込まれてしまって例のごとく一気読みしてしまった。 主要人物の3人はもちろん、他の登場人物もとても魅力的。前半では形成外科医としての主人公の日常を描きつつ、後半でサスペンス・ミステリへと移行していく。前半でしっかりと伏線もはられていてお見事。トリックも単純で分かりやすいがなかなか気付けない。種明かしをされた時点でなるほど~!とスッキリした気持ちになる。(きょむ

医療サスペンス。知念さんらしい作品で、面白かった。トリックが見事で、柊先生と明日香さんと早苗さんの会話が面白い。これは、シリーズ化にならないのかな。3人が気になるので、続きが出れば読みたい。(お子様ランチ

“天才美容外科医”と呼ばれる柊と「整形美女連続殺人事件」の真相。前半はそれぞれのエピソードが独立した短編ミステリーっぽかったけど、後半の連続殺人にまつわる怒涛の展開には思わず引き込まれました。ラストシーンがとにかく熱い。柊には何か裏がありそうな気がしてならなかったし、彼と弟子の神楽には何の関係があったのかなど謎も充実していて読むのが楽しかったです。また整形を題材にした作品というのも変わっていて、見たことのない世界を覗いたような感覚になりました。顔を変えることを求める人々の理由もなかなか深かったです。(ami*15

 クライマックスにかけて明かされる衝撃の真実。予想を裏切る展開に度肝を抜かれる。物語にちりばめられた数々のピースが最後に1つの像を結んでいくのは、この小説だからこそ味わえる快感。あなたもこの小説を味わってみてはいかがだろう。この小説は美容整形の舞台裏が覗けるだけではない。読み始めたら止まらない、新感覚のミステリーだ。

文=アサトーミナミ

(※引用文は、トリスタが運営する「読書メーター」投稿コメントより)