お金と時間、 どちらが大事か?――「時間よりお金」を優先する日本人の残念な思考

暮らし

2018/9/14


稼ぐ人が実践しているお金のPDCA
(冨田和成/KADOKAWA)

「働き方改革」や人生100年時代により見直しが進むワーク・ライフ・バランスも、言い換えればワークは稼ぐこと(お金)、ライフはどう生きるか(時間)です。
 さらに副業が解禁されていけば、メインで働く会社の勤務時間以外の時間もお金のために投下することができるようになるので、お金と時間のバランスでもあるワーク・ライフ・バランスをより真剣に考えることになるでしょう。『稼ぐ人が実践しているお金のPDCA』(KADOKAWA)からお金と時間の関係について解説します。

「時間よりお金」を優先する日本人の残念な思考

 ドイツの世界トップクラスのマーケティングリサーチ企業GfKが世界17カ国の2万2000人を対象にした調査(GfK 「Attitudes around materialism」)によれば、「お金よりも時間のほうが大事」と考える人が大多数を占めました(唯一、日本人だけが「時間よりもお金のほうが大事」と答える人のほうが多いのですが)。世界の人は、時間はかけがえのないものだと考えているのです。

 手塚治虫のマンガ『ブラック・ジャック』では、無免許の天才医師が、法外な料金を代償に、さまざまな難病を治療していく人間ドラマが描かれていますが、このストーリーが成り立つのは、人は延命し、生きる時間を得るためであれば、お金を惜まないという事実があるからです。不老不死を得るためだったら、いくらでも対価を払うという人はたくさんいるでしょう。
 生きていく上でお金は重要ですが、時間にもお金と同じ程度、あるいはそれ以上の意識を向ける必要があります。「時間」は個人の資産にレバレッジをかける存在だからです。最も効果的なのは、人的資本にお金と時間を投資すること。知識・スキル、健康、人脈、信用につながるものに、もっとお金と時間をかけることで、人的資本が大きくなり、給料アップなどのリターンとなって返ってきます。
たとえば、休日の10 時間を仕事のための勉強や語学、または人脈の構築などに充てる人と、休日の8時間はだらだらと過ごして、残りの2時間だけを人的資本に投下する人とでは、いずれ稼ぎ力の面で大きな差が開いているはずです。

自分でやるVS. アウトソースする

 時間でお金を買うことはできます。まさに、働くということは時間という資本を勤める会社へ売却して、お金という資本を会社から得ているからです。
 ただし、この場合、自分の時間を切り売りすることになります。いくら仕事ができる人であっても、1人の時間を切り売りして稼ぐのには限界があります。会社の株式やストック・オプションを持っている場合は別ですが、優秀な人はそれをよくわかっているので、会社から独立して時間を切り売りすることをやめます。個人事業主として名乗っているだけで、実はたくさんの関係者を束ねて稼いでいる人もいます。たとえば、マンガ家も個人の仕事のように見えますが、売れっ子のマンガ家はたくさんのアシスタントを抱えているものです。ということは、お金で時間をアウトソースすることができます。言い換えれば、お金で時間を買っているということになります。

 そしてこれからは、時間を買うことができるものへさらにお金が向かうと考えています。人生の選択肢が増えた現在、大量の選択肢の供給に対して、時間の需要が高まっています。時間の需要が高まることにより時間価値が高騰し、同時に「時間を購入できるサービスの価値」も高騰している、と言えばわかりやすいかもしれません。そのサービスの活用によって時間を生むことができれば、さらに人的資本を上げたり、労働に投資してお金を生み出すという好循環をつくり出したりすることもできます。

「時短家電」が流行る本当の理由

 実際、最近では時短家電が人気を集めており、家事代行や宅配ボックスなどの需要も高まっています。これらのような過去には自分の時間を投下することでしか得られなかった価値を、電化製品や他者などの仕組みにアウトソーシングすることが可能になりました。

 ちなみに、富裕層と言われる人たちは、自分の時間を最大化するために、他人に振ることや仕組み化することを考えます。ビジネスではアウトソーシングと言われますが、これは日常生活でも同様です。

 たとえば、「家政婦さんに家事を依頼する」「アイロンがけが必要なものはクリーニングに任せる(配達も)」「食事は外食か出前を取る」「教育は家庭教師や幼稚園などに任せる」などは、まさに自分の時間を最大化するためのアウトソーシングであり、時間を買っている行為です。つまり、企業が内製するか外製するか考えるように、日々自分がやることとやらないことを、時間価値のリターンとコストで比べているのです。

 つまり、時間を投資と捉えた場合、自分でやるほうがトータルリターン(その取り組みからの直接収益-アウトソースコスト)が大きいか、アウトソースしたほうがトータルリターンが大きいかを考えることが、大切な時代になっているのです。

 時間は持っているだけでは価値がありません。精神的充足である家族や趣味の時間に投下してもいいでしょうし、一方で自分の資産を厚くするために、効果的に時間を配分して人的資本や金融資本を高めることによって価値は高まります。

 つまり、お金について計画して実行する――「お金のPDCA」を回すことによって時間を最適化することは、人生の目的や目標を達成できるかどうかに関わってくるのです。そのために、ここでもお金が大きな存在になっているということです。

●著者紹介●
冨田 和成(とみた かずまさ)
ZUU代表取締役
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。月間400万人超を集める金融経済メディア「ZUU online」や「DAILY ANDS」など資産運用の総合プラットフォーム運営、フィンテック推進支援を行う。2016、2017年度監査法人トーマツ主催「日本テクノロジー Fast50」にて2年連続上位受賞。2018年6月、設立約5年で東証マザーズへ上場。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』(クロスメディア・パブリッシング)、『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』(ダイヤモンド社)など。