生きづらい人への贈り物。お医者さんが教える、余計な苦しみの手放し方

暮らし

公開日:2018/9/17

『がんばらなくてもうまくいく考え方』(井上裕之/PHP研究所)

 こんなに頑張っているのに、いつも空回り…と、生きづらさを抱えている人は少なくないそう。「余計な苦しみをかかえない」ための考え方のコツを教えてくれる『がんばらなくてもうまくいく考え方』(井上裕之/PHP研究所)は、歯科医として患者さんと信頼関係を培ってきた井上裕之氏が、自己啓発本やセミナーから幅広く学び、6万人以上の人との対話を通じて感じてきたことがまとめられた1冊です。「余計な苦しみを手放してほしい」という著者の思いが込められた本書は、可愛いイラスト入りで、語りかけるような文章で綴られています。

「がんばらなくてもうまくいく考え方」とは「人は人、自分は自分と割り切って、自分なりの人生を自分中心に生きること」。「シンプルに考えること」と「自分を大切にすること」なのだそうです。では余計な苦しみを生む、ネガティブな感情を手放すにはどうしたらよいのでしょうか。本書にはさまざまな感情への対処方法が、32項目にわたって紹介されています。いくつか紹介しましょう。

■岐路に立たされたとき

 どっちの道に進むべきかは、ハンバーグとコロッケと、どっちにするか悩むくらいに気楽に考えてよい。どちらを選んでも 人生に後悔はつきもの。心穏やかでいるためには「取り返しのつかないことなんかない」ということを覚えておくこと。大事なのは自分の意思で選択することです。

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■休む勇気がない

 仕事のスケジュールと同様に、休むスケジュールもきちんと手帳に書くこと。健康であることに感謝して、休息をとることをサボってはダメです。

■イライラに苦しんでいる

 イライラする人は飛んでくる石を律儀に受け止めている状態。しない人は巧みに石を避けている。自分と他人の価値観は違うのです。イライラからの悪循環にはまらないように上手に避けることを覚えましょう。

■友人の幸せに嫉妬してしまう

 親しい人とは、そっくりなエネルギーで生きていると言えるのです。彼らが幸せになったらそれはあなたにもチャンスがあるという証、あなたにとってもいい兆しなのです。

 著者は大事な人との別れについてこんな考え方を示します。「心をきっぱり切り替えるには悲しみの裏にある喜びを見つめること」。「寂しくて悲しくて不安でたまらないのは一緒に過ごした時間がかけがえのないものだったから。そんな存在に出会えてよかったですね。別れのつらさから出会えた喜びに焦点をずらせば、心がほっこりと温かくなります。あなたは一人ではありませんよ」。

 人は寂しさを知ることで優しくなります。太陽が沈まないと星は見えません。心が暗くならないと見えない希望もあります。「人生は長い目で見つめなければいけません。今だけを切り取って幸せな人生だとも不幸な人生だともいえない」と著者は述べます。あなたも井上医師に励まされながら、楽に生きられるように考え方をリセットしてみませんか?

文=泉ゆりこ