スタンフォード大も「アホ」を研究!?  賢い人の“職場のアホ”と戦わない方法

ビジネス

2018/9/20

『スタンフォードの教授が教える 職場のアホと戦わない技術』(ロバート・I・サットン:著、坂田雪子:訳 /SBクリエイティブ)

 “アホ”を取り上げた本がベストセラーになっているほど、今“アホ問題”が話題のようだが、実はスタンフォード大学でも「アホ」の研究をしている教授がいた。彼は、組織行動論や組織管理論を研究するなかで、「アホ」の研究も行い、『スタンフォードの教授が教える 職場のアホと戦わない技術』(ロバート・I・サットン:著、坂田雪子:訳 /SBクリエイティブ)では、これまでの研究をもとに、「性悪なアホどもにどう対処すればいいか」をアドバイスしている。そこで、本書の内容を一部まとめたものを紹介したい。

■アホとは戦うな「逃げろ」! アホに慣れてないか?

 賢い人は逃げる。アホを前にしたとき、人はまず断固逃げるべきだ。だが、ひどい上司や同僚がいても、逃げようとしない人はたくさんいる。そういう人は何かと理由をつけて残っていることが多い。「仕事を辞めるほど状況はひどくない」と考え、本当はかなり苦しんでいるのに「この仕事は重要でそれなりに満足感もある」と思いこみ、なんとか耐えている。

 かなり深刻で苦しんでいても、多くの人はそれほどひどくないと思いこみ、早く逃げることの大切さにも気がつけない。それは「慣れ」と「ごまかし」のせいだ。

 人を罵倒するアホや冷酷な態度をとるアホに対して、初めのうちは不快に感じ、いやな気持ちがしても、いつしか慣れてそのひどさに気がつかなくなる。あるいは気がついていてもこだわらなくなる。完全に無視することもできない場合は、「ごまかし」。つまり自分にウソをついて、事実から目をそむける。苦しい状態がずっと続きそうでも、そのせいで痛手を受けていてもフタをしてしまう。

■「アホ」は人を「不安」や「うつ」に陥れ、睡眠障害、高血圧の原因にも!?

 職場に意地の悪い人間がいると、標的になった人の心身がむしばまれる。不安やうつを引き起こし、睡眠障害、高血圧の原因にも。イライラして家族との関係も悪くなりやすい。

 イギリスの公務員6000人を20年間追跡調査した研究によると、上司から不当に批判され、めったにほめられなかった人は、狭心症や心臓発作を発症しやすくなり、心臓病で死亡するリスクが高まるという結果がある。

■“悪いヤツ”ほど出世するのは本当か?

「非情でないとビジネスで勝ち抜けない」と思っている人は多い。実際に、「悪いヤツほど出世する」と主張する学者もいて、著者の同僚、ジェフリー・フェファーも「他人をゴミ扱いする人間は成功しやすい」と言う。

 だが、多くの文献を読むと、人を虐げたる人、自分さえよければいい人を讃える研究者は、成果ばかりを大きく取り上げ、ダメージを過小評価し、長期的なダメージを無視している。そもそも、他人をゴミ扱いしなくても成功した勝者はたくさんいる。

■スティーブ・ジョブズはアホを卒業したから成功した

 世間では、「ジョブズが成功できたのは、横暴で気分屋で無神経だったから」という神話がある。しかし、ジョブズとともに25年間仕事をしたエド・キャットマル(ピクサーの創業者の一人で現社長)によると、たしかに若い頃のジョブズは態度が悪かったが、その後、態度を改めたそうだ。

 ジョブズは1985年に一度アップルを追い出され、その後立ち上げたコンピュータ会社のNeXTや初期のピクサーで多くの挫折を味わった。「アップルに戻るまでの約10年間、ジョブズは数々の挫折を乗りこえ、失敗の原因を理解するうちに、他者に共感できるようになった。人の話に耳を傾けるようになり、よいリーダー、よきパートナーになった」と、キャットマルは言っている。つまり、アップルを大成功に導いたのは、“人を思いやれるようになったジョブズ”。

 そのほか本書では、6つの質問があり、「アホ問題」の深刻度を測れるようなっている。性悪なアホにどう対処すればいいのか。逃げ方やかわし方、逃げられない場合は、どうやってアホと会う頻度・期間・濃度を減らせばいいかというテクニックから、ダメージを小さくする方法、効果のある反撃法まである。

 まずは自分の気持ちに向き合い、「アホ」問題の被害を客観的に判断し、様々な「逃げる」方法をチェックしてほしい。

文=Sachiko