不倫もなくなる!? 80歳現役AV監督のセックス幸福論

エンタメ

公開日:2018/9/20

『生きる哲学としてのセックス』(代々木忠/幻冬舎)

 避妊具の大手メーカーDurexの調査では、ギリシャ人のセックスの回数が年間138回で世界トップ。続いてフランスなどの欧州が概ね年間100回くらいなのだという。アジアは総じて少なく、年間80回くらいだが、なかでも少ないのが日本の45回だ。

 また、アダルトグッズの大手メーカーTENGAの調査によると、世界のさまざまな文化圏の18か国を対象にした性生活の満足度は日本が最下位の18位。上位は1位にインド、2位にメキシコ、3位はブラジルだった。

 このように、日本のセックスは世界的に後れているのだ。

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 『生きる哲学としてのセックス』(幻冬舎)は80歳にして現役のAV監督・代々木忠がこれまでの経験を駆使し、セックスの奥深い世界について、シンプルかつ論理的に綴った1冊だ。26歳にして男性体験1008人の女性や衆前で犯されたい元総理大臣の姪といった“イケない”悩みをもつ女性など、代々木が相対した数多くの出演者が心の衣服を脱いでいく様を描写する。「セックスとは?」「オーガズムとは?」「人間らしい性とは?」。現代社会の闇をセックスという行為から論じていく。

―セックスだからこそ辿り着ける頂があると僕は今思っている。
 なぜならば、セックスとは身も心も相手と溶け合い、一体となることだからだ。自分一人だけが幸せになるのではなく、相手の幸せが自分の幸せだと感じられるようになるからである。

 本書はセックスによる幸福論なのだと思う。今の日本では意識が情報によって操作され、感性よりも思考が優位になっている。しかし、情報優位のセックスが本能で相手と向き合ったセックスに勝ることはない。

 厚生労働省『平成30年版自殺対策白書』によると日本の自殺死亡率は19.5。フランスは15.1、アメリカは13.4、ドイツ12.6、カナダ11.3、イギリス7.5、イタリア7.2と主要7か国(G7)のなかで日本が一番高い。

 自ら死を選ぶ人が多いのは、“生”や“性”が大いに語られていないからではないだろうか。経済的にも社会的にも停滞している日本が復活するには、まずは本書でセックスを学ぶことから始めるべきだと思う。

文=梶原だもの