副収入は本業の20倍!! 天才編集者、箕輪厚介が謳う新時代の生き方

ビジネス

2018/9/26

『死ぬこと以外かすり傷』(箕輪厚介/マガジンハウス)

「常識に縛られずに、個体としての欲望と偏愛を解放しろ」──。ベストセラー本を量産することで“天才編集者”と注目されている、幻冬舎編集者、箕輪厚介氏(33)の処女著書『死ぬこと以外かすり傷』(マガジンハウス)からの言葉だ。

 他にも「トラブルに身を投げろ!」「バカなことにフルスイングせよ」「安全安心を破壊せよ」など、箕輪氏の信条や「常識の覆し方」が数多く登場する本書からは、いい意味での刺激臭がプンプンと漂ってくる。

 その中でも、箕輪氏の中核をなすキーワードが「熱狂」だ。「編集者の根本は遊びのように仕事を、仕事のように遊びをするということだ」と記し、箕輪氏はこう続ける。

ただし、熱狂して狂う。自分の好きなものにひたすら情熱を持って入れ込む。

 熱狂が生む熱量が、人や物事、そして結果(実績)までをも巻き込む。

 累計12万部のベストセラー『たった一人の熱狂』(見城 徹/双葉社、幻冬社)や、創刊1年で累計100万部を売った「NewsPicks Book」の書籍群(幻冬舎初のビジネス書シリーズ)他、多くの実績で出版業界や著者たちをザワつかせてきた箕輪氏。しかしまだ編集者になって今年で4年目だ。この短期間での才能開花ぶりを、見城氏は「天才編集者」と呼び、ホリエモンは本書帯で「1週間単位で成長している」と評する。

■「こっちの世界に来て、革命を起こそう」

 編集の仕事と出会う以前の5年前までは、「どこにでもいるダメサラリーマンだった。いや、どこにでもいないレベルでクズだった」と記す箕輪氏。本書は「怒涛の4年間」を振り返り“クズリーマン”に起こった転機、これまでに巻き込んできた人々との出会いや交流、ベストセラーや副業の舞台裏などのエピソードをちりばめながら、自身の「考え方」「商売のやり方」「個人の立たせ方」「仕事のやり方」「人間関係の作り方」「生き方」を明かす内容だ。

 そして全体を通して「こっちの世界に来て、革命を起こそう」と、熱く誘う。

「こっちの世界」とは、今起こっている「古い世代にはわけの分からない変化」をとらえ、「自分たちの手で、世界の輪郭に触れ、自由で新しい秩序を作り直そう」という志に目覚めた人たちの世界だ。

 ただし、「こっちの世界」へ行くには覚悟もいる。「その代わり、誰よりも動け」「能書きじゃなく、数字やプロジェクトで示せ」「何をやりたいか、何をやっているか、明確に答えられる人間であれ」そして「狂え」と、箕輪氏は訴える。

■他を圧倒する結果・実績までを導いてこその熱狂

 箕輪流「熱狂主義」が世に多いワクワク主義(ワクワクと楽しもう論)と一線を画すのは、他を圧倒する結果・実績までを導いてこその熱狂だと強調している点だ。

 たとえば、なぜ、箕輪氏は実績もないまま大物著者を口説けたのか。編集経験もなかった双葉社営業部員時代、箕輪氏は投資家、与沢翼氏と人気写真家レスリー・キー氏を口説いて、ムック雑誌『ネオヒルズ・ジャパン』(2013年創刊、双葉社)を立ちあげ自ら編集長業務をこなして3万部を完売させた。そして14年に同社編集部員になるや、いきなり前述の見城本を成功させた。

 そこにあったのは、経験や常識ではない。無知の特権である怖いもの知らず感と情熱・熱狂でぶつかっていくこと。そして当たって砕ける、ではなく、当たって結果を出す覚悟だ。本書の「強引にでも結果を出す変態に仕事は集まる」とは、けだし名言である。

 なぜ、箕輪氏の本は売れるのか? それはコミュニティづくりとネットを使った拡散バズ(盛り上がり)戦略にあるという。「本は作った時点で終わりなのではなく、売り方や周辺の仕掛けまで考えることが今の編集者の役割」と記す箕輪氏。

 編集した本の宣伝にも熱狂する。インフルエンサー(影響力を持つ拡散者)である著名人や人気ブロガーたちとのパイプも作るが、「編集者自身がインフルエンサーになればもっといい」と考え、それを実行する。

■箕輪氏の副業月収は本業月給の約20倍!?

 箕輪氏のことを「サンデージャポン」(TBS)などテレビで知ったという人もいるだろう。サラリーマンの傍ら、コメンテーター業、「箕輪編集室」というオンラインサロンの主宰、コンサル業、プロデュース業、講演など、多くの副業を行っていることは本書に詳しい。

 その副収入は「本業月収の約20倍」にもなるという。それでも「幻冬舎編集者」の看板は下ろさない。副業と本業は別腹ではない。副業で自分をブランディングすることは、本業でベストセラーを生む重要なインフラだ。本書には、副業のことを社長に認めさせるくだりも紹介されている。その際の台詞もおもしろいので、ぜひ、本書でご確認あれ。

 このように、単に精神論を謳うだけでなく、箕輪氏は誰もやっていなかった売り方を編み出し、新時代の編集者のロールモデルをまず自分で演じて見せるのだ。

 その一方で「おわりに」では、今回の著書出版に対する自身の見解をこう記す。

「(この本を出した時点で)今までの僕は死んだも同然だと思っている。自分の経験やノウハウを語ったり、本にした時点でもう、腐り始めている」
「だから、この本に書いてあることとは、この時点で決別し、僕はまったく新しいことを、またやり始めないといけない」

「軌道に乗る」や「安定」などの言葉は箕輪氏の人生には不要なのだ。「落ちるか落ちないかギリギリの綱の上でこそ輝く」のが箕輪氏で、カメレオンのような変幻自在さこそが真骨頂なのだろう。さて、明日は何を語るのだろうか。

 そんなミステリアスなイノベーター箕輪氏について詳しく知りたい方、これからの時代の働き方・生き方のヒントが欲しいという方は、ぜひ、本書を手にしてみてほしい。

文=町田光