速さは「不可能」を「可能」にする! アマゾン流・スピード仕事術

ビジネス

公開日:2018/10/1


 驚きと感動のサービスで、加速度的に成長するアマゾン。日本の小売業のクオリティが劇的に高まったのは、もはや疑いようのない事実である。

 現場では、いったいどんな仕事が繰り広げられているか。『アマゾンのスピード仕事術』(佐藤将之/KADOKAWA)では、アマゾンジャパン立ち上げメンバーで、国内最大の物流ネットワーク発展に貢献した元幹部がその秘密を語る。

 キーワードは、「スピード」。

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 では、仕事を神速で進めるための“しかけ”をいくつか紹介したい。

●アマゾンがスピードにこだわる理由

 アマゾンには「Customers Rule!」(お客様が決めるんだ!)という言葉がある。アマゾンにとって、唯一無二の目的とは「お客様の満足度を高めること」であり、そのための手段としてスピードを求めるのである。

 これは、裏を返せば、「顧客満足度向上に帰結しないスピードは決して求めない」ということも意味している。

「上司の顔色をうかがうため」「ライバル企業の出鼻をくじくため」といったような、対象や目的を見失うことはない。

●会議の理想は“無言”で即終了!?

 アマゾンの会議では、プレゼンソフトでの資料作成を禁止している。これは、ソフト使いの巧拙で読み手の印象が変わったり、後日読み返す際、端的にまとまっただけの資料では「内容が思い出せない」という落とし穴があるからだ。

 そのため、会議の目的に合わせ「1ページ」か「6ページ」で詳細な内容でまとめるのが基本となっている。

 会議ではまず、資料をじっくり読み込んでから質疑応答に入る。ちなみに、アマゾンでの理想の会議とは、ほぼ“無言”で即終了すること。これは、「文句なしの完璧な資料だった」という称賛の証なのだ。いたずらに時間をかける会議をよしとしない潔さがある。

●やり直しもOK! だから行動あるのみ

 アマゾンは、日本の小売業の常識を覆す大胆なサービスや事業を次々と生み出している。そんな彼らの行動力の源泉は、14ヵ条からなる「OLP(Our Leadership Principles)」という理念をみるとよくわかる。


 そのなかで、第9条「Bias for Action(とにかく行動する)」に注目したい。

 これは、「行動する?/行動しない?」で迷うのではなく、「“素早く”行動あるのみ!」と言っているのだ。そして「やり直すこともできる」と担保しているので、社員たちは躊躇せず大胆に行動できる。

 本書はそのほか、アマゾンが事業を加速させるための「時間術」「人材育成」「組織づくり」などについて、元幹部の実体験をもとに語りつくす。閉塞感漂う「日本型組織」に苦しむ人は、絶対マネしたいメソッドが豊富に詰まった一冊だ。

『アマゾンのスピード仕事術』
佐藤将之/KADOKAWA

注文から、最短1時間配送という驚異的なサービスを実現したアマゾン。その驚きと感動の舞台裏には、神速で仕事に取り組むアマゾニアンたちの仕事術があった。彼らは、なぜスピードを追い求め、加速度的な企業成長を達成しているのか。アマゾンジャパンを黎明期から支え、国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与した元幹部が初めて明かす、事業を加速するための「時間術」「人材育成」「組織づくり」「会議術」。

佐藤将之(さとう・まさゆき)
企業成長支援アドバイザー。セガ・エンタープライゼスを経て、アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして2000年7月に入社。オペレーション部門のディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与する。2016年退社。現在は、経営コンサルタントとして企業の成長支援を中心に活動中。