何度拒否されても諦めない!「セックスレス問題」を解決するまでを描いた実録エッセイ

マンガ

更新日:2018/10/1

『実は私セックスレスで悩んでました』(とがめ/KADOKAWA )

「セックスレス」とは、単なる夫婦やカップル間の鬱憤にとどまらず、離婚や破局などにもつながりうる深刻な問題でもある。最近はセックスレスを題材とした作品が話題になったり、メディアでも多数取り上げられたりすることも増え、もしかしたら食傷気味になっている人も多いかもしれない。

 しかし、はたして認知度が上がったからといって、セックスレス当事者の気持ちは軽くなっているのだろうか? いくらセックスレスをテーマとした作品が面白くても、雑誌やワイドショーで取り上げられても、それがどこか自分とは遠い世界の話のように聞こえていたら、やっぱり孤独に悩むしかないのかもしれない。

 先日発売された「実は私セックスレスで悩んでました」は、もしかすると、そういった孤独に悩むセックスレス当事者にとって、救いのひとつになりうる作品だ。

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 この作品の大きな特徴は、著者自らの過去を描いた実録漫画だという点だ。著者のとがめさんは、自身が経験したセックスレスであった日々を、漫画化してpixivに公開。なかなか人には言えない性の悩みを、赤裸々かつコミカルなテンポで描いた当作品は、瞬く間に話題を呼んだ。

 物語は、結婚して1年目という新婚ほやほやの時期から始まる。旦那さんの「子供欲しくない?」という一言に、嬉々として「ほしいほしいーっ」と答えるとがめさん。はたから見れば、すべてが順調そうな仲良し夫婦だ。しかし、そこから1年、子どもができる気配はまったくなく、夫婦はセックスレス状態に陥っていた。

 セックスレス問題が根深いのは、それが決して一人の頑張りだけでは解決し得ない部分にあるだろう。

 とがめさん夫婦は、そもそも二人の間の性欲のバランスがとれていなかった。性欲が薄い旦那さんは、とがめさんに対しての愛情はあるものの、セックスまでしたいとは思わない。一方で、性欲が人並み以上に強いとがめさんは、「大好きと言われるのは満たされているのに カラダが一向に満たされない」と欲求不満を募らせていく。

 この作品は、とがめさんの頑張る姿も見所のひとつだ。

 旦那さんに欲情してもらうため、ダイエットに励んだり、家でも可愛い格好をしたり、エッチなコスチュームに身を包み色仕掛けをしたり……セックスのためになりふり構わずに努力をする。しかし、そんなとがめさんに対して、旦那さんはまるで気づかなかったり、ちょっと困った様子だったりと、なかなかドライな反応だ。

 それでもめげずに、とがめさんは精力剤を入れた食事とともに、裸エプロンで旦那さんの帰りを待つからすごい。恥を捨て、何度も諦めずに旦那さんに向かっていくとがめさんの姿を見ていると勇気ももらえる。

「実は私セックスレスで悩んでました」というタイトル通り、最後はセックスレス問題に終止符を打つ形で完結する。セックスレスは、決してひとりの問題ではない。最後には、旦那さん側にも「性欲が弱い」以外に様々な理由や考えていることがあったとわかる。

 実録だからこその等身大な悩みや葛藤は、セックスレスで実際に悩んでいる人たちにとって大きな励ましになるかもしれない。また、ひとりでは越えられない壁だからこそ、そこには夫婦の関係性がさらに深まるチャンスがあると考えることもできる。ひとり孤独に悩んでいる人にオススメしたい、ポジティブにセックスレスを捉え直すことができる一冊だ。