『キン肉マン』64巻! 超人レスリングに小手先の技など必要なし! アツい展開にグイグイ引き込まれる!!

マンガ

公開日:2018/9/29

『キン肉マン』(ゆでたまご/集英社)

 2011年から24年ぶりに新シリーズがスタートした超人レスリング漫画『キン肉マン』。現在も週プレNEWSのWEB連載は続いており、2018年9月に単行本第64巻が発売された。

 第64巻は、地球襲撃に訪れたオメガ・ケンタウリの六鎗客vs.正義超人軍の5試合目、ウルフマンvs.ルナイトが決着。戦いに生き残った六鎗客が、いよいよ正義超人軍の本丸であるキン肉マンに戦いを挑もうとしたとき、なんとかつてキン肉マンと王位を争った運命の王子たちが現れるのだ。

 運命の王子たちは、マリポーサ、ビッグボディ、ゼブラ、スーパーフェニックスの4人で、残念ながらソルジャーはまだ登場しない。戦いはオメガ・ケンタウリの六鎗客vs.キン肉マン・運命の王子連合軍という新たな局面を迎える。

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 最初の見どころは言うまでもなくウルフマンvs.ルナイトだろう。ルービックキューブ張り手と合掌ひねり、得意技が返されダウン中のウルフマンのもとに現れたのは、この戦いですでに散っていった正義超人たちの魂。彼らは満身創痍のウルフマンを温かく激励する。少年バトル漫画の古典的な手法だが、作者のゆでたまご先生が描くアツい魂と誇りを持った超人たちなら、読み手の気持ちを十分に揺さぶってくれるはず。キン肉マンという漫画には斜め上の手法なんぞ必要ないのだ。

 運命の四王子の注目は、旧作の王位争奪戦においてスーパーフェニックスに惨敗し、かませ超人として一部のファンからコアな人気を誇るビッグボディ。巻末の作者のQ&Aコーナーでは、ビッグボディはカッコよく仕上げたいとコメントしており躍進の可能性は特大だ。ファンなら今後の展開は絶対に見逃せないだろう。

 また、四王子とキン肉マンのかけあいが妙に親しげのため、ほほえましい気持ちにさせてくれる。かつて死闘を繰り広げた相手でも試合が終わればノーサイドということだろうか。たわいもない一場面だが、キン肉マンらしさを強く感じられる。

 四王子の試合はマリポーサvs.ヘイルマンの序盤戦を掲載。マリポーサは、ヘイルマンの氷を操る変幻自在の攻撃に対して、炎を利用したモクテスマ・ディフェンスで対抗する。炎の技vs.氷の技という、こちらも少年バトル漫画の古典的な展開だが、ゆでたまご先生が描くアツい超人レスリングならまったく問題なし。迫力ある展開が期待できるだろう。

文=望月裕作