人生100年時代を生き抜くために必要な“マルチステージ”とは?

ビジネス

更新日:2018/11/12

『まんがでわかる LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット:著、星井博文:原作、松枝尚嗣:まんが/東洋経済新報社)

 これからの時代、多くの人が100年以上生きるようになるといわれている。それに伴って、“人生100年時代”という言葉をよく聞くようになった。2016年に発売された『LIFE SHIFT』(リンダ グラットン、アンドリュー・スコット:著、池村千秋:訳/東洋経済新報社)では、従来の教育→仕事→引退というライフステージが変化していく未来を予測し、大きな反響を呼んだ(現在、30万部のベストセラーになっている)。

 こうした考え方を踏まえ、最近のビジネス書では“人生100年時代”に備えた生き方、働き方を提案するものが多く刊行されている。本稿では、先日発売された『LIFE SHIFT』のまんが版『まんがでわかる LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット:著、星井博文:原作、松枝尚嗣:まんが/東洋経済新報社)の内容や、関連する副業や転職の本を紹介する。

■人生は“マルチステージ”に突入していく

 人生が100年になると、私たちの働き方は大きく変わる。これまで日本では、20歳前後まで教育を受け、65歳まで会社で働き、その後は退職金と年金で余生を過ごすという3段階のステージが当たり前だった。だが、会社の雇用や年金が十分に期待できない今、これまで通りの働き方では、老後の活動資金はなくなってしまう。そこで本書は、従来の生き方のモデルから“マルチステージ”へと移行することを提案している。

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 マルチステージの考え方では、人生の中で複数のキャリアを持ち、ときに自分探しの期間なども設けながら、意識的に自分のあり方を決定していく。こうした流れを踏まえ、会社員でも始められる副業や、個人M&Aなどのように、複数のキャリアを持つ働き方を推奨する本が出版されている。

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■目に見えない“無形資産”に投資せよ

 本書によれば、マルチステージを生きる上では、目に見えない資産――“無形資産”が重要になるという。

 無形資産には
生産性資産(主に仕事に役立つ知識やスキル)
活力資産(健康や良好な人間関係のこと)
変身資産(変化に応じて自分を変えていく力)
の3つがある。

 転職の際には、こうした社外でも通用する無形資産を持っていることが大きな武器になる。たとえ、社内で高い成績を出していたとしても、その組織特有の環境でしか成果を出せないのならば、転職先で活躍することはむずかしいだろう。こうした転職に関しても、コンサルタントや転職経験者の立場から語る本が出ているから、合わせてチェックしてみてほしい。

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 まんが版である本書では、就職活動でやりたいことが見つからない主人公や、大企業を辞めてしまった兄、役職定年を前に焦る父などが登場し、それぞれの世代が抱える悩みを通して『LIFE SHIFT』のエッセンスをわかりやすく学ぶことができる。ぜひ自分や家族が今置かれている立場と照らし合わせ、これからの働き方について考えてみてほしい。

文=中川 凌