「最強の鑑定士」では、美味しい料理が満載! 主人公・釘宮悠利がまったり料理無双する異世界スローライフ最新刊!!

文芸・カルチャー

公開日:2018/10/10

『最強の鑑定士って誰のこと? ~満腹ごはんで異世界生活~』(港瀬つかさ:著、シソ:イラスト/カドカワBOOKS)

 巷に「異世界もの」のWEB発小説が流行りだして随分経つが、その多くがアニメ化されるなど、いまだ高い人気を誇っている。かつては、主人公が異世界転生・転移する際に、強力な能力を付与されて戦場で活躍するといった、ネット上では定番の「俺TUEEE」なパターンが目立っていた。しかし、最近では異世界で料理屋を営んだりする「スローライフもの」、人間以外の生物になってしまう「人外もの」とさまざまなジャンルが増えてきている。『最強の鑑定士って誰のこと? ~満腹ごはんで異世界生活~』(港瀬つかさ:著、シソ:イラスト/カドカワBOOKS)も、そんな「異世界もの」の一つであり、シリーズ累計15万部を突破する人気作。最新第5巻が10月10日に発売された。

 本作の主人公・釘宮悠利は、料理や裁縫など家事全般が得意な男子高校生。ある日突然、ゲームのように自分のステータスが表示される異世界へ飛ばされる、という「異世界もの」お約束展開に巻き込まれる悠利。彼の場合、体力やスピードなどのステータスは低かったが、持っていた技能(スキル)が「チート」だった。【神の瞳】という、鑑定系最上位の技能(スキル)で、あらゆる罠(トラップ)や人の悪意などが見ただけで判別できたり、人や物などの詳細がわかってしまうのだ。

 この能力を使って「俺TUEEE」するのかと思いきや、本作は違う。悠利は保護してくれた≪真紅の山猫(スカーレット・リンクス)≫という冒険者を育成するクランで料理担当として活躍するからだ。最新刊でも「玉子チャーハン」や「サーモンの海鮮漬け丼」など、悠利の作る美味しい料理に胃袋を掴まれているメンバーたちは、もはや彼がいないと困るレベルのようだ。

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 では最強技能(スキル)【神の瞳】が用なしかといえば、そんなことはない。従魔の誘拐犯を鑑定して、その一味ごと潰したり、魔法の道具によって無理矢理従わされている冒険者を助けたりと、本人は無自覚ながらも人助けをしていることも。ただし、普段は食材の品質を鑑定したり、異世界にはない調味料を作るために必要な情報を得たりと、本来の使い方とはだいぶ違うチートの無駄遣いをしているが……。

 本作の特徴としては、とにかく「料理の描写が非常に細かい」ことが挙げられる。最新刊においても「木べらでタマネギと人参を炒める。焦げ付かないように、弱火から中火の間くらいの火力で」――と、料理をする悠利の姿が浮かんでくるようだ。実際、こういった調理描写から「作ってみました」という読者の声も多いとのこと。悠利と仲間たちのほんわかした物語はもちろん、レシピ本のような数々の美味しそうな料理が登場することも、本作が支持される理由の一つであることは間違いあるまい。